20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:実際にあった事件〜児童虐待〜 作者:羅夢姫&神楽嬢

第13回   13
そして約束の日、和気さんから…

「ごめん…今日公園に行けない…。」
とメールが来ました。
理由を聞くと…“長男が腹痛を訴えているから病院に行く”という事でした。
その日は休日だった為、救急病院を聞かれ教えました。
普段なら“私も行こう”と思わなかったのですが…
この時は何故か行かないといけない様な気がして娘と病院の前で
和気さん達が来るのを待っていました。
その病院は和気さんの家まで自転車で15分程の所にあるのですが
和気さん達が来るまでに40分程かかりました。
和気さんが来た時に私達の姿を見て一瞬気まずそうな表情をしました。
和気さんは後ろに下の子を乗せ、その後ろに長男をしがみつかせて
連れてきたので最初は軽い腹痛だったのかと思っていた所…
長男が自転車から降りた瞬間、歩く事もうずくまる事もしゃべる事も
出来ず少し触れると断末魔のような叫び声をあげる状況に私は頭の中が
真っ白になりました。
あまりの異常な状況に娘はすぐに長男を抱っこして病院に駆け込みました。
和気さんは下の子の手を取り何事も無かったかの様子で歩いてきました。
その様子に私はハラワタが煮えくりかえり病院内だったが…

「はよ歩いて、はよ手続きせんかいな!!」
と怒鳴りました。和気さんは…

「はいはい」
とうっとおしそうに手続きをしました。
周囲の患者さん達はただならぬ状況にドン引きしていました。
私は和気さんに…

「こんな状態の子をよくしがみつかせて来たな。
下の子は旦那に見てもらうくらいしてもらったら
どうなん?タクシーとか救急車で来るべき状態やねんで!!」
と私が怒鳴った所、和気さんの口から出た言葉が…

「お父さんが“見るのイヤ”って言ったし救急車なんか呼んだら
噂になるし、お腹壊してるだけやと思うし、そんなん困るやん。」
と言いました。明らかに異常な状態だと言う事は誰が見ても分かる事でした。
病院側も長男の状況を見てすぐ対応してくれました。
医者が和気さんに…

「いつからこの状態ですか?」
と聞くと和気さんが…

「ヒロ、いつから?」
と叫び声を上げて苦しんでいる子に聞いていました。
私が…

「母親やねんからわかるやろ?虐待するだけが親ちゃうねんで!!」
と言うと和気さんは…

「そんなん知らんやん!寝とけば治ると思っとったもん。」
と逆ギレしました。
医者は母親の無関心な態度と長男の状態を見て何度も…

「お母さん何もしてませんか?何もしてなくても何でもっと早く
連れてこなかったんですか?」
と聞いていました。そして私に…

「開けてみないとわからないですが、内臓が破れている可能性があります。」
と言い、緊急手術を要する状態であると言う説明をされました。
医者は…

「今は手術が2つ入っているから今ここでは対応出来ませんが、
明石市民病院にすぐ救急車で行ってもらいます。」
と言いました。私は医者に…

「せめて痛みだけでも少し楽にしてあげてください。」
とお願いしました。本来ならば母親が言うべき事だと思うが
和気さんは心配する様子は全くなく無関心な様子だった。
救急車を待っている時でも和気さんは…

「タバコ吸ってきてもいい?」
と言い喫煙室に行きました。
医者や周囲にいた人たちは驚いていました。
私は和気さんに…

「我が子こんな状態になるまで放っとける神経疑うわ!!
男繋ぎ止める為だけに産んだ子にしても自分のお腹を痛めて
産んだ子なんやから心配するとか何かないの?
夫婦で虐待するだけが能じゃないで!!」
と言うと和気さんがバツが悪そうな顔をし…

「そんなんしてへんで。」
と言いましたが私が…

「“虐待はなかった”“虐待ではない”と言い切れるん?
あんたらが今までヒロにしてきた事やねんで!!
私があんたと知り合って見てきた事、聞いた事は紛れもなく
虐待の何物でもない。ここで皆に聞いてみ?
蹲まってる子を蹴ったり殴ったり、ご飯をろくに与えへん事が
虐待じゃなく躾やと言うのであれば聞いてみ?
まだまだあんたらがやってた事あるやろ?
それを全部ここで言ってみよか!!」
と言うと和気さんは涙ぐんでいたが私が…

「泣く位ならもっと人間として扱ったりよ。
反省もしてへんのに泣き真似したって私には通用せえへんで!!」
と言うとすぐに泣きやみました。

そうこうしていると救急車が着いたが長男は和気さんが同乗する事を拒みました。
私は娘に同乗させました。
救急車の中で長男は娘に…

「家でお腹痛いのガマンしてる時、僕もうあかんと思った。」
と言ったそうです。娘が…

「ごめんな。こんな事になるまで放っといて…申し訳ない。」
と言うと長男は…

「僕、お姉ちゃん達が見えてん!!その時このまま死ぬんやな。
最後にもう1回だけお姉ちゃん達に会いたいと思った。」
と目に涙を溜めて言ったそうです。娘は謝る以外何も言えなかったそうです。

そしてそうこうするうちに市民病院に着き医者はすぐに手術の準備を始めました。
娘は長男の側でずっと励ましていたそうです。
しばらくして長男は娘に痛みをこらえながら…

「僕が“お腹痛い”って言ったら“うるさい”ってお腹蹴られてん。」
と言ったそうです。娘は耳を疑ったそうです。そして…

「ママに蹴られてからめっちゃ痛くなった。」
と言ったそうです。
その時私は病院に着いてすぐだったのですが、娘が病室から出てくるなり
急に和気さんに掴みかかり殴ったのです…。

「よう平然とした顔でこれたのぉ。己が蹴ってから腹が痛いらしいやんけ。
われ何さらしとんねん。己も同じ事したるから表出ろや。」
と和気さんの髪の毛を掴んで引きずって行こうとしました。
私は娘のその言葉と行動に一瞬、頭が真っ白になりました。
私は看護婦さんを呼び何人かで必死に娘をおさえました。
しばらくして娘は…

「おかん、悪い!顔見たら自分が何するかわからんから外におるわ。」
と言って外に出て行きました。
和気さんは…

「私、蹴ってへんで。私がおらん時にお父さんがまた蹴ったんちゃう?」
と言いいました。私が…

「一緒におって何で蹴ったかどうかも知らんのよ。
それはおかしいんちゃうん?また2人で蹴っとったんちゃうん?」
と言うと和気さんは…

「寝っとったから知らんもん。」
と答え私は…

「あんな尋常やないぐらい痛がっとる子がおんのに寝れる神経疑うわ。
朝からずっと吐いたりしてたのに横になっとったら治るって頭おかしいわ。」
と言った。すると和気さんは開き直った様子で…

「そんなん知らんやん。ひどいならひどいって言わなわからへんやん。」
と言いました。私はその態度に腹が立ち…

「本人言ったけど、あんたが“寝とったら治る”って言うて
病院連れて行かへんかったんやん。あんたヒロ殺す気か?
死んどったらどないするんの?」
と言うと下を向いて黙り込みました。私が…

「死んどったらあんた等は埋めたん?あんた等は絶対するやろな。
言い切れるわ。」
と言うと和気さんは…

「そんなことせえへんわ。」
と言ったが私が…

「今ここで絶対そんな事せえへんって言い切れるんか?」
と聞くと何も答えられない様子でした。
私達が病室に入ると和気さんは医者に何度も…

「お母さん、何もしてませんか?」
と聞かれていました。和気さんは下を向いて小さな声で…

「何もしていません。急に痛がったから…」
と言ったが医者は…

「何かなかったらこんなにも痛がりませんよ。本当に何もしてませんか?」
と疑っていました。私が…

「もうここまで来たんやから認めたらどないなんよ?
実際あんたが言った事、してきた事やねんから。」
と言うと泣きながら…

「ヒロ…ごめんな…」
と何度も謝っていました。私が…

「泣き真似すんな。」
と言うと又すぐに涙は止まっていました。医者は…

「今から手術をしますが麻酔や入院の手続きの説明をしますので
一緒に来てください。その方がいいと思うので…」
と私に立ち会いを求めてきたので私も一緒に説明を受け、
長男は手術を受けました。手術は約3時間程で無事に終わりました。
元々の原因は盲腸だったのですが、何らかの強い衝撃を受け盲腸の部分が破裂し
膿が体内で飛び散っていたそうです。
私は旦那さんに電話をかけるように言いました。
何度かけても留守電の状態でなかなか出ない様子でした。
すると和気さんは留守電に…

「もう逃げられへんで。腹くくりよ。あんたもやってきた事やねんから」
と残していました。私は看護婦さんに一声かけてその日は帰りました。
その日の夜に和気さんから…

「明日、弁当を作って持って来てほしい。」
とメールが来ました。
私は長男のその後の様子を聞いたがまだ麻酔から覚めていない様子でした。
その日の夜、私も娘も長男の断末魔の様な叫び声が耳に残りなかなか眠れませんでした。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 16495