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作品名:リトルブレイバー 作者:夢見草

第1回   小さな勇者の物語。
  いつからだっただろうか。

 あの悪しき魔物達がいつしか群れを成し、集団を作り、人間と同じように村を作り、街に住み、そして王国を作ったのは。人間と同じような文化を持っているのに、魔物、という表現は、些か差別的である。
 いや、差別しなければならないのだろう。あれは、人間と同じにしてはいけない。
 人間からは程遠い。彼らは肉体的にも頭脳的にも、圧倒的に人間よりも優れている。
 本来ならば、人間などはすぐさま駆逐されていただろう。
 こんな綴り方だとまるで魔物が、無手勝流に猛威を振るい跋扈しているようなことを、この表現は生んでしまうが、それは大きな誤解だということを此処に記しておきたいと思う。
 彼らは、いや、彼らの王は、人間を駆逐しようとはしなかった。
 彼らの王。そう、魔王。そう云えば、伝わりやすいと思う。
 魔王は、人間と和平を結んだ。和平といっても、今まで戦争をしていたわけではない。
 寧ろ、人間が魔物を一方的に悪とみなし、何もしていない魔物達を駆逐していったのだ。
 それをやめさせる為の和平だった。今考えるまでもなく、あの時、魔王が人間を駆逐しようと思えば、簡単に済む話だったと思う。
 魔王は、人間を滅ぼさない代わりに、ある条件を世界へ、つまり、人間たちに出した。
 不平等条約。こう云えばいいのだろうか。
 その条約、和平交渉によって、魔物達は人間よりも上位の存在となった。
 人間よりも上位の存在というのは、本来ならば神や天使などを想像してしまう。しかし、この条約によってその期待が一気に壊れて魔王が人間を支配するような形になったのだから、笑えない。
 何故こんなことをしようと魔王が考えたかといえば、簡単な話だ。
 手駒が欲しいのだ。いや、家畜代わりとでも云えば、イメージが伝わると思う。
 それに魔物といっても元は動物。言葉が通じる魔物も限られている。


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