初めて会った時から数十年間、ずっと私は君に夢中だ。 君の美しさにただただ魅せられてばかり。 触れれば触れるほど吸いついてくるような、その白く艶やかな肌。 私は君を一生離すまい、何があっても一緒だと思っている。 だから、君が突然何者かに奪われた時、私は生きた心地がしなかった。 食事も喉を通らず、夜も眠れず、日に日に痩せ細っていく私を周囲も心配しながら見ていた。 でも、私は君のことがあきらめきれなかった。 君は私の元にいるのが一番幸せなんだ、いつかきっと君は私の元に戻ってくる、と。
そして、願いが通じたのか、数ヶ月を経て奇跡的に君が私の元に戻ってきた。 私は涙を流しながら君を抱きしめた。 よく戻ってきてくれたね、もう離れ離れになるのは二度とごめんだよ、と。
「ユウさん、戻ってきて本当によかったな」 旧知の間柄であるヨシさんが、久々に我が家に遊びに来るなり、開口一番に言った。 「ああ、私にとって掛け替えのないものだからね」 私は君――人間国宝作、花鳥風月の絵付けが見事な白い陶磁器の壷――が鎮座する床の間に目をやりながら答えた。 一度は美術愛好家の連続窃盗犯にさらわれたが、こうして戻ってきた君に一層の愛情を募らせながら。
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