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作品名:御鬼ノ女霊子かく語りき 作者:ブリブリ仮面

最終回    【血は水よりも濃し】




Once upon a time


ある処に御鬼ノ女霊子ちゃんという、それはそれは気高く美しい天使が住んでいました。
ところがリベラルな霊子ちゃんは人間界友愛主義理論を強硬に主張したため、神様とその他の天使たちは大変お怒りになり、霊子ちゃんを地上に追放してしまったのです。

翼をもがれた堕天使御鬼ノ女霊子ちゃんは行く当てもなく、公園のダンボールハウスの中で途方に暮れる日々を送っていました。
しかし捨てる神在れば拾う神在り。そこへ救済に現れたのが霊子ちゃんの竹馬の友である堕天使ルシファーくんだったのです。

暗黒の地下世界政府大統領ルシファーくんは霊子ちゃんを社外取締役として即決で採用し、ブリブリの地にある愚民主義党代表のポストを与えたのです。
可憐にして清楚、そして更にミロのビーナス像が如き抜群のプロポーションを誇るうら若き霊子ちゃんを目の当たりにした村民たちは、瞬く間に霊子ちゃんの虜となってしまいました。
全人類の友愛を説く心優しい霊子ちゃんは、総選挙で大勝し女性として初めて国家主席の座に就いたのです。

そして首相も兼任する事を勝手に決めた霊子ちゃんは所信表明演説の後、全国のテレビ・ラジオ局を独占した共同記者会見を開こうとしていました。
そこにはタブロイドスポーツ新聞社にコネで就職した、あの邪教院たか子さんが政治部記者として最前列に陣取り、敵大将の首を狙い虎視眈々と待ち構えていたのです。





「僕が国家主席兼首相に就任した愚民主義党代表の御鬼ノ女霊子なのよ。か弱き乙女を苛める人は大嫌いなの、宜しくね。」

「こらっ、お主の翼は純白じゃなくて青・赤・黄色に塗り分けてあるが、どう云う料簡なんじゃい。」

「これはね、地上で最もバランスの取れた綺麗な配色だから選んだの。」

「ん〜〜、どうせ他に魂胆があるんじゃろが。それから胸元にぶら下げてる、見慣れない真っ赤な十字架は何なんじゃい。」

「あのね、僕は神様に仕える下僕な訳なのね。でもそれ以前に公僕である証しとして胸の谷間を強調しなければいけないの。」

「おいっ、お主の言ってる意味が解らんぞ。その赤い十字架は何だと訊いて居るんじゃ。」

「僕は幼少の砌より、何不自由なく恵まれた環境ですくすくと育ったので些細な事には興味がないの。」

「そうかいそうかい、そんな世間知らずのお嬢ちゃんに統治能力があるとは思えんがなあ。」

「僕はまだ正真正銘の生娘だし、穢れた大人の世界なんて知りたくもないの。」

「おうおう〜、与太話はそれ位にしといてよう、貴公の政策と政治理念について訊かせて貰おうじゃあねえかよ〜。」

「ちょっと失礼、割り込ませて頂きますよ〜っと。さて首相閣下、私はウジテレビの山本と申しますが、愚民主義党の推進する政策とは企業に於ける放漫経営に等しい。
即ち、事業仕分けとは製造業の開発費と設備投資を大幅に減らし、役立たずの従業員であっても一律にベースアップするのと同様なのです。
風が吹けば桶屋が儲かるの類いで、高速道路を無料化すれば身内企業のタイヤが飛ぶ様に売れるから万万歳だと、斯様に考えた姑息な手段に過ぎないのではありませんか。」

「オホホホホホ、成り済まし業界人の因業寺閻魔殿、其の方こそ若い娘の舌べろが欲しい余り、こんな所まで出張して来て恥ずかしくはありませんの。」

「あのねえ蛇蝎院、うちの常連客の鬼どもがね、どうしてもこの娘のタン塩が食いたいから絶対にゲットして来いよマスターとか言ってうるさいんだわ。」

「こらっ因業寺、女の戦場に来て口出しするとは野暮じゃぞ。とっとと地獄に帰れや。」

「ちょっと待ってね、今仕込んでるタンシチューの焦げてる匂いがするから、ではまたいずれ。」

「フンッ、どうせ其の方はこの小娘を持ち帰って肌エプ料理プレイでもしたかったのじゃろうて、ホホホホホ。」

「おいっ愚妹もも子、お主は何の目的で業界人の振りをして潜り込んで来たんじゃ。」

「あら、お姐様。わらわはヴァルハラTVネットワークの名誉会長として下々を見物しに来ただけですのよ、オホホホ。」

「そうかいそうかい、貴公もそろそろ薹が立って来たんで、若い娘の台頭を芽の内に摘みたいのじゃろうが。」

「あら、お姐様の方こそ、この小娘の身体を狙っているんじゃありませんの。さっき仏具店でローソクを何本も買っているのを見ましたわよ、ホホホホホホ。」

「なんじゃいコラ〜、クリスマス用のキャンドルを纏め買いしちゃあいけねえって云う法律が何時出来たんだよ。文句あんだったら外出ろや、オンドリャ〜〜〜。」

「わらわは仏具屋でクリスマスキャンドルを売ってるなんて聞いた事ございませんわ。何ですの、この変態サドマジョの万年嫁かず後家。ホホホホホ。」

「お〜お〜お〜、上等じゃあねえかよ、てめえが毎日ネズミーランドで未成年のボンズを誑かして、ホテルに連れ込んでナースプレイやってるって事はな〜、せなで泣いてるこの桜吹雪が総てお見通しなんだよ〜。」

「このアンポンタンのトウヘンボク、其の方こそ大酒飲んで暴れて救急車で病院に運ばれるたびに、看護婦と変態ドクタープレイやってたのをわらわは知っておるのじゃ。」

「お〜お〜お〜お〜お〜、しゃら臭えってんだよベラボウめ〜〜、お主がガキの頃からブルセラショップに毎日通ってたって事をなあ〜、一面トップに書いてもらいてえのかよ〜〜〜。」

「フンッ、たかが三流粕取りブンヤが〜下々の分際で何をほざいておるか、身の程をわきまえるが良い。」

「あの〜、すみません・・・・・・・・・・貴女たちはここへ何しに来たの。僕の栄えある記者会見の場で・・・・・・・不潔っ、不潔よ、大人ってみんな不潔だわ。」

「お〜お〜お〜、なんか喋りたかったらなあ言うてみんかい〜、事と次第によっちゃあ只じゃあ済まねえけどよ〜。」

「では気を取り直して始めるわね。僕が最も心を砕いているのは、如何にして大衆にも解り易い政治を執り行うかという事なの。
難しい政策理念を得意げに言ったり、難解な語句を使って政策を語る事などは、過去に於いて数々の失政の原因となった事例があるの。
つまり、どんなに頭の悪い国民に対しても理解できたと思い込ませる様な単純極まるプロパガンダが今必要とされているの。
即ち、下等な大衆の二大本能を如何にして刺激するかが焦眉之急とされているの。そして世の中はお金が総てだと愚民大衆に再教育するの。
その為に必要不可欠な政策こそが子供手当てであり、地球温暖化対策による金銭のばら撒き政策に集約される訳なの。」

「おうおう、愚妹もも子よ〜、貴公が消防時代の体育の時間に、プールで泳いでると必ずスク水が流れちゃったわ〜、もも子はもう恥ずかしくてお嫁にいけないわ〜、とか言ってわざと男子ボンズの前でマッパになってはしゃいで居ったろうが。」

「あら、其の方こそクラスの子全員から給食費をカツアゲしてたから、飢え死にする生徒が後を絶たなかったのでは御座いませんこと。」

「自由・平等・友愛の精神を世に知らしめる為には、貧乏人を貧乏人として自覚するよう教育する事から始めなければならないの。
21世紀に於ける国際貢献とは自らの財産を世界中の恵まれない人々に分け与えて、自分たちの生活が苦しくて仮令餓死に至ろうとも一言も不平不満を漏らしてはいけない、これこそが僕の理想とする友愛社会なの。
愚民大衆に対しては我慢に我慢を重ねる事を学ばせ、苦しんで苦しんで苦しみ抜く事を美徳とする様に徹底教育を施さなければいけないの。
今まさに世の中の事象総てが自由・平等・友愛によって昇華される時代が到来したのよ。
その為にはこの美しい国の愚民大衆を殉教者とすべく、全員を断崖絶壁に立たせなければならないの。」

「お〜お〜お〜、愚妹もも子〜、てめえなあ厨房の頃に裏AVに出演したってえ噂がご近所の評判になったもんで、このワシが何度も近所に殴り込み掛けて事実を揉み消した恩はよもや忘れちゃあいめえな〜〜。」

「この烏賊臭女め、あれは其の方がわらわの入浴シーンを写メって、投稿サイトに勝手にウPした写真をパッケージに使われてしまったのでは御座いませぬか。いい加減な事を抜かすと地獄裁判に掛けますぞえ。」

「そして僕は相続税廃止論者でもあるので、両親から子への相続は原則非課税を必ず実現するの。
どうしてママンから頂いたお金が贈与になるのか僕には理解できないわ。
貧乏愚民はどうせ財産なんか残せやしないから、直間税率を最大限引き上げて相続税廃止法案を通せば、頭の悪い乞食愚民は踊り上がって喜ぶ筈なのよ。」

「愚妹もも子〜、お主はこの世間知らずのガキとそっくりじゃあねえのかよ。ワシがいなかったら貴公は今頃デリヘル嬢でもやってんじゃあねえのかい。」

「何と云う無礼千万な、実の姉といえども聞き捨てなりませぬぞえ。地獄の沙汰から逃れたくば氏んでわらわに詫びるのじゃ。」

「あのねえ、だから貴女たちは僕のためになるお話を真面目に聞いているの。もういいから出て行ってちょうだいな。」

「ん〜〜ん、何だあこの小便臭いガキは〜、このワシに文句でもあんのかよ。いてかましたるで〜ワレ〜。」

「これっ、小娘。そちはわらわを地獄女王と知った上で出て行けと暴言を吐きよるか。其の方、覚悟は出来ておろうな。」

「あんたたちって馬鹿じゃないの〜〜。今は自由・平等・友愛の世の中なの〜。だから可愛い可愛い僕は支持率が高いの〜。」

「なんじゃいワリャ〜〜、ちょっと痛え目に遭わせなきゃあ世間知らずが直らねえらしいな〜〜〜。」

「その通りですわよ、お姐様、この小娘はローソクを垂らさなければ歪んだ根性が直らないのですわ。」

「エッ、やめて下さいったら〜、何をするんですか〜・・・・・・・・・・ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ。」


意地の悪い姉妹は屈強なシークレットサービスを次々と薙ぎ倒し、壇上に上がって霊子ちゃんに殴る蹴るの暴行を加えたのです。
新米記者の邪教院たか子さんは強靭な腕力にモノをいわせて霊子ちゃんの翼をもぎ取ってしまいました。
そして性格の悪い地獄女王もも子さんは霊子ちゃんの着ている服を全て剥ぎ取り、恥ずかしい部分を写メってその場で何百枚もプリントアウトしてしまったのです。
更にあろう事か写真と一緒に霊子ちゃんの下着をビニール袋に入れ、宅急便でブルセラショップに送って代金を銀行振込させてしまいました。



「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ、呼んじゃうぞ呼んじゃうぞォォォォォォォォォォォォォォォ、安い子ママン助けてえェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ。」

「オーーーポッポッポッポッ、我が愛娘に何たる仕打ちを〜〜〜。曲者め、お命頂戴致す。それでは皆々様方グッドイヤーをお過ごし下さい。
ブリブリブリブリブリブリ〜加齢臭攻撃クサヤキムチ風味を受けてみよ〜〜ブリブリブリブリブリ〜オッポッポッポッポッ。」

「グワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ、臭い、臭過ぎるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ。」

「これっクソババア、先程わらわの所有して居るタイヤ関連株を全部売り払ったぞよ、オホホホホホホホ。」

「そりゃあ大変、おババは石橋を叩いて渡る性格ですので本日の勝負はこれにて終了。オッポッポッポッポッポッ。」

「ホホホホホホ、売国守銭奴め、尻尾を巻いて逃げて行きよるわ。さあ、お姐様この小娘を鞭打ちの刑に処するのです。」

「いんや〜、このガキは因業寺が欲しがってたから傷物にしなきゃあ高く売れるんじゃねえかな。」

「貴女たちは何を言ってるの、それって人身売買でしょ。」



「そうかいそうかい、子供手当ての裏面にある本来の目的を全国放送でバラされても良いのかよ。」



「もういいわよ、覚えてらっしゃい、お友達のルシファー君に言い付けてやるから。」







「フンッ、悪魔の本質とは人間の存在に恐れ戦き、未来永劫人間に対する畏敬の念から呪縛を受ける獣なのだと覚えて置く事じゃ。オホホホホホホ。」










To be continued.










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