この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝121」
ツノマキトカゲ
体長20cm前後の草食のトカゲ 熱帯に生息し食料は植物なら好き嫌いなく食べる その他のトカゲに比べると尾が非常に短く 敵に襲われた際のおとりに切り離す芸は使えない そのため擬態能力が大変発達しているのである
名前の由来は鱗の形状から名付けられた 鱗一枚一枚が釣り針のように巻き上がっており 擬態を見破られ肉食動物に襲われた際の 最後の手段となっているのである この鱗は敵に刺さると深く刺さりはがれるのであるが 返しの有る釣り針と同じ形状をしているため 一度刺さると非常に抜けにくく 刺さった肉食動物はしばらく苦しむことになるのである 苦しむだけならまだしも 口内に刺さってしまった場合自ら引き抜くことが出来ず その後獲物を取れずに飢え死にまで追い込むことも ママあるのである このトゲは有毒ではないが 自然環境下であるため細菌などが返しの部分に繁殖しており 肉食動物に刺さった時 その固体が弱っていた場合刺さった場所が口内でなくとも 傷口から化膿が進み衰弱しその後死に至るのである
このように敵に対しての備えは万全であるが この鱗の性質の為 このトカゲの野生種の存続も危ぶまれている 近年の環境変動の為生息域の植生が変化し ツル性植物が増えすぎた為である この巻き上がった鱗がツルに引っかかり 体の大部分の鱗がはがれてしまい再生が追いつかず はがれた部分から寄生虫や細菌感染し死亡 それ故野生での個体数が激減しているのである
しかし 飼育下では反対に個体数が増加しているのである 餌は植物質であるなら 果実から根っこまでありとあらゆる部分を食べる 湿度にさえ気を付ければ気温の変化にもある程度強く 摂氏10度以下にならなければ死んでしまうことも無い このためペットとしての需要が増え 爬虫類の入門用種として人気である 自然では刺さると危険な鱗であるが きちんと消毒すれば化膿の危険性は回避できるため 人間が飼育するにはなんら問題も無いのである
ちなみに飼育下で簡単に繁殖できる為 一時食料としての利用が検討されたこともあるのだが 肉量が少なく 与えた餌の量に見合わない為このアイデアはお蔵入りとなった トカゲからしてみれば 胸を撫で下ろす話である
飼育繁殖されたこのトカゲは合法的に食べられるので 個人的に買って食してみたが 無理に食べる必要は無かったのである 非常に淡白な味 言い換えればまるで旨味のない肉で食感もイマイチ 湿った紙をしがんでいるような感じである お蔵入りになったのも納得である トホホ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
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