この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝111」
ヒヨリケラ
春先に活発に活動を始める ケラの一種 通常ケラは地中で大半の時間を過ごすが この種は主に地上で活動するのである また大きさも通常のケラよりも大きく 最大体長は確認された物で10cmの固体がある その体の大きさゆえ 本来捕食される側のケラが捕食者のモグラを 反対に襲って食べることもこの種に限ってあるようである しかしこのようなことは滅多に無い様で 5から6cmくらいが平均的な大きさのようである
この種の特徴は上で述べたように 地上での活動が生活の大半を占めることである その為元々茶褐色の体色が 日焼けによるメラニン色素が沈着し 黒色が強く出ており 少し遠めに見た場合小型のモグラとまるで区別が付かない しかしモグラに比べてより立派な前足が付いており きちんと観察すればまず間違えることはないであろう ただ注意すべきは観察時の距離のとり方である うかつに近寄りすぎると 地上で生活し続けることによって 地下に居る時は退化していた羽根が立派な物になり 少しの距離なら飛び上がれるようになっているので 外敵と判断された場合襲い掛かられる可能性が 高いのである モグラでさえかみ殺すその強力な顎でかみつかれると 怪我をするのは必死である為 この点には注意が必要である
この様に 体が大きく凶暴であるのに 名前がヒヨリなのは よい天気の日には のんきに日向ぼっこを良くするからである 地上に出て黒色が強くなった体色は 草の陰の近くに静かにしていると 目のよい鳥類であっても なかなか発見することは難しいようで のんびりと日向ぼっこに興じることが出来るようである この昆虫は群れることはないが この様に天気の良い日は一斉に日向ぼっこする為 じっと観察すると地面がモゾモゾ動いているように見え 実に不気味である
しかし この昆虫を捕獲するならばこの時が一番である 一斉に襲い掛かられる事は無いのかと 思われるかもしれないが 何しろ日向ぼっこでほうけている最中である たとえ素手でつかんでも そのゴツイ前足や凶悪なアゴも使う様子も無く いとも簡単に捕まえることが出来るのである
この様に いまいち間抜けなこの昆虫であるが 何ゆえわざわざ地上に這い出して生活を始めたのかが 生物学者たちの間では議論の的であり 地上に這い出たことにより 掘削用の前足の形状の変化の推移などが 今後の研究対象として また その他のケラのように地中に潜って過ごさない為 上手く捕獲できると飼育しての観察も面白いようで 子供が飼育する対象としても 一部では人気の昆虫である ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
|
|