この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝104」
モドシガツオ
カツオによく似た魚種で 回遊せずに比較的浅い海に住み着く種である 水深300m位の海が生息域であるが 産卵繁殖時はもっと浅瀬に近づき産卵する 産卵後全ての成魚が卵の周りを回るように泳ぎ続け 外敵による捕食から守るのである この行動は孵化後も続けられ 稚魚が成魚のおおよそ7割の大きさに成長するまで 全ての群れの魚が面倒を見るのである
この稚魚の成育中に名前のモドシの由来はある 稚魚の周りを守っている成魚たちは 交代で食事に出かけるのであるが この時食べてきた餌を 半消化の状態で反芻し稚魚の餌とするのである この子育て行為は雌雄の区別無く行われる
一つの群れの稚魚が成長し終わると その成長した稚魚たちは直ぐに繁殖に入るため 育てた成魚たちを残して そっくりそのまま別の場所で繁殖する 以上のことからひとつの群れは生涯一箇所に土着し 繁殖し続けるのである 近年は海水温の上昇に伴い この魚の生息域が拡大し 生態系への影響も出始めているのであるため 過剰な繁殖に歯止めをかけるため 漁業関係者への この魚の猟を推進する活動が盛んになっているのである 幸いな事に この魚は比較的美味であるため 市場での評判も良く食用魚として今後の見通しも 有望である
肝心の利用法であるが カツオに似ているのは外見だけで その身は白身で大変淡白なさかなである 一時は漁獲のある地元の料理屋で 刺身でも出されたりしていたが 最近の主な利用法は魚肉製品への加工用である 好きなように味付けが出来るため 魚肉加工業者には大変な人気である とくにはんぺんに加工したときはその白さのため 出来上がりが良く人気のある魚となっているのである
また 海岸から近い場所で生息するため 釣り人たちにも人気があるのである 何しろ釣り上がる数がその他の魚とは比較にならない為 兎に角魚を釣り上げたい人や 船釣りを始めたばかりの人達には面白い獲物だと言えよう 成魚で大きい物は1mを超える物が 一度群れを捕まえるとひっきりなしに揚がる為 釣り人の体力と クーラーボックスの大きさが足りない位である
こうして持ち帰ったこの魚の調理法としては 刺身で食べるのもいいのだが 油との相性が良い為 フライ物や天ぷらで食べると大変美味である 先に言った様にどの様に味付けしても良いため 各人の好みの通りに食べる事の出来るよい食材である
ちなみに私は 唐揚げにした物を甘酢あんかけで頂いた ホクホクとした身の食感に 甘酸っぱいアンと野菜のシャキシャキが加わり 食の進んだ一品であったのである
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