この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝97」
アグサ
地面を這うように繁茂する多年草 草丈は10から15cm 超硬質の棘状の葉と茎を持つ植物 湿地を大変好み世界中の水稲栽培地域で見られる 葉と茎はほぼ同形同色で通常時は丸で見分けが付かない 一年に一度の花期に茎の先端に茶褐色の花をつける為 このときだけは見分けが付くのである 名前の由来は 踏みつけたときにアッと思ったらもうグサッと 刺さっている事が多いためこう名付けられることとなった
上で述べたとおり 水田の周辺によく見ることが出来 除草に関する農業技術が未発達であった時代は 単に足に刺さるはた迷惑な雑草であったが 水田内部に生やさずに山地との境界に計画的に生やす事が 出来るようになってから その存在価値は一変したのである 山間地の水田ではどうしても獣害に悩まされるが このアグサを利用することで 獣の侵入を防ぐことが出来るようになったのである 野生種のアグサは湿地にしか生息できないが この天然の有刺鉄線としての機能の便利さゆえ 近年品種改良が行われ 比較的湿気の少ない場所でも生育できる物が作られ 今では畑作地でもこのアグサの障壁が利用され 獣害に悩まされている世界中の山間地の農家から 大変重宝されているのである
この植物の利用上必ず気をつけなければいけないのは 利用している人間も怪我をすることが多いため 底がしっかりした作業靴を使用することである 底がゴムで出来ている物ではひとたまりも無く貫通 登山靴でも質が悪ければグサリとやられるのである 災害時などでも使用できるような 底に鉄板の入った長靴か 軍用のジャングルブーツなどを使用することを お勧めするのである これらの履物が手に入らないときに 誰にでも出来る対策は 障壁として植えてある周りに30cm程度の溝を掘ると 植えた場所がわかりやすいため後は近寄らなければ良い またこの溝は アグサの種の飛散防止にもなる もともと種を飛ばす能力が低く 根を伸ばして生息域を広げていく性質なので 溝を掘っておくことによって根の広がりも防げる この手法で生やす範囲を簡便にコントロール出来ることも 多くの農家に利用される事の要因である
もう一つ気を付けなければいけないのは 子供の存在である この草が硬い棘であることを知っていなければ ぱっと見た目はただの雑草であるため 山遊びに来た子供が うっかりアグサ障壁に踏み込んだ物なら 大惨事である このような悲しい出来事を避けるためにも 注意喚起させるための対策は必須条件である これらの点に気をつければ 自然物の害獣用障壁としては大変扱いやすいため 今後も利用が増えるであろうと思われる
ちなみに 品種改良の失敗作として 葉と茎が細くしなやかな品種が出来てしまったが この品種を簡単に栽培できる 食品用の串として利用され始めているのである この品種を鉢植えにして 育った葉や茎を自分で爪楊枝にするような事も 一部でされているようである
今後とも何かしら利用法が増えるであろう 実に将来が楽しみな植物である ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
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