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作品名:ORKの口伝 作者:出雲一寸

第73回   オリーブ・アブラカタブラ
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝95」

オリーブ・アブラカタブラ

オリーブの一品種で
特に油分の多い品種である
漢字で名前を書くと「油過多」後ろのブラの部分は
どうやら命名者の冗談で付けられたようである

その他のオリーブに比べて兎に角油分が多く
おおよそ10倍程度のオリーブオイルが採取できる
このため植物性燃料資源として
今後大変注目をあつめることとなるであろうと思われる
しかし
食用としてはいまいちな品質であるために
栽培面積は増えにくく
現在のエコロジー活動が継続されるか否かが焦点である

食料用としての品質の悪さは
搾油したとき独特の濁りを生ずることにある
この濁りは品種特有であり
その他の品種ではみられない顕著な特徴である
少し青みがかったこの濁りは
着色しなおかつ不純物が混ざった機械油のようであり
料理に使用したときも
仕上がりの見栄えに大変影響を与え
料理人たちからも不人気である
さらにこの濁りは
手間をかけてろ過しても取り除くことは出来ず
食用として活用するには
経済的にも不向きである

そしてもう一つ
栽培面積が増えにくい理由は
過去に大変な山火事が起こった為である
昔から栽培されていた地域周辺では
ランプの灯油としてこのオリーブオイルが活用されており
近隣地域でも良く利用されていたが
40年前の落雷が原因の山火事の際
その驚愕の燃え盛りようから
トラウマを持ってしまった栽培農家が多く出てしまい
その後あまり栽培されることがなくなったと言う
過去があるのである
先にも述べたが
植物性燃料資源として大変優秀であるため
この先火災対策をとった栽培地が増えれば
燃料源として期待できるであろう

食品としていまいちと述べたが
食して体に悪いわけではないので
私はもちろん食したのである
味わいはその他のオリーブオイルとなんら変わりない
香りが少し頼りない気がするがこれも問題ない
最も特殊な色合いであるが
これは使う料理次第ではなかろうか
パスタはそのまま青く染まってしまうから不向きである
トマト料理も色が混じって紫色になり
正直食欲が沸く人を選ぶ
イカ墨料理なら目立たなかったのではあるが
これほど使い道に頭を悩ませて
無理に工夫して料理に使わずとも
燃料に使えば良いのではなかろうかと思う
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この文章は全てフィクションです


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