この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝89」
サクラジマガエル
体長20cm前後の大型のカエルの一種 野生には存在しない食用の交配養殖品種である
体幹と同じくらいの太さの足が生え 通常それほど大きくならないはずの前足が 後ろ足と同程度の太さになるため 取れる食肉量が大変多く カエル料理を出す料理店で重宝されており 世界中で流通しているのである
名前の由来は足の太さと形による物である 足の付け根から関節ごとに 桜島大根をくっつけ合わせたような形になるためである おたまじゃくしから成体に変態したすぐ当たりは ごく普通のカエルであるが その後飼育を半年程度続けると みるみる足に肉が付き始め 最終的には自分で身動きが出来ないくらいまで肥大する この状態になると餌の与え方が難しくなる事と この先の肉量の増加が少ない為に 出荷されてゆく 食性は雑食性で餌には苦労しないが 肉質の向上の為に養殖家それぞれの工夫がされている
極稀にまだ動きが活発な変態直後に 養殖槽からの脱走事件が起こることがあり 地元の珍事件としてニュースに流れることがあるが そのまま野生化している様子は今のところ無いようである これはこのカエルが繁殖可能な状態は 両足が肥大し身動きがほとんど取れなくなる状態で 交尾の相手を探すことが出来ない事と その巨体ゆえに肉食動物の餌になりやすいためである だがしかし今後奇跡的に生き残ったこのカエルが 種の防衛手段を身に付ける可能性も無い訳ではないので 養殖家には自然界への流出を防ぐために 養殖施設の規定が設けられる事となり始めたのである
この様に成長するにしたがって 行動能力が極端に低下するこのカエルであるが 人工繁殖の卵の孵化率は95パーセントを超え 大変繁殖が容易である その為大変安価で手に入りやすい部類の食肉に なりつつある 最近ではカエルを食する習慣のない地域の 食料品店でも冷凍真空パックの物が流通し始めた 私も購入して調理してみた カエルの肉はよく鶏のささ身と似た味がすると例えられる これは正しく実にアッサリとした上品な肉である 今回はシソの葉を薄く切った肉の間に挟み 下味を付けた衣でフライにしたが 美味 ただパンやご飯のおかずにするには これでもアッサリしているので 好みによってソースを工夫すると良いのではないだろうか ちなみに私は タルタルソースで食したが 相性は抜群であったのである ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
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