この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝86」
バベルバンブー
竹の一種で極めて巨大な品種である 茎の直径は平均2.3m高さは50mに達する 竹林の中で最も高さのある4本から7本を中心に 円すい状に繁茂し その様子が天空に聳え立つ塔の様に見えることから この名が付けられたのである
この竹が一度群生を始めると その他の植物は成長速度に追いつけず日照不足に陥る この為この竹以外ではコケやシダばかりになる この段階を過ぎるとさらに密生し ついにはこの竹の落ち葉や枯れた物に生えるカビ位しか 生えることが出来なくなるのである こうしてバベルバンブーの塔が完成する 塔の形になるまではほんの一年で その後4年から5年でその他の植物がほぼ無くなるのである 最大の群生地では 円の直径が2kmに及びもはや塔ではなく一つの山 ここでは高さも150mに達しているのである
こうして塔になったこの竹の根元では ほとんど日光が当たらず 常に湿気とカビ臭さに包まれている 生きている竹もカビに犯されたり その他の細菌に感染したりしそうな物であるが そうならないのは この竹の非常に強い抗菌作用による物である 近年研究が進みこの作用をもつ物質が特定され抽出 抗菌物質として活用されるようになり 特に注目されているのは抗真菌薬への利用である
この竹の繁殖・成長力の高さは目を見張る物が あるのであるが そこが最大の欠点でもある 人家のそばに一たび生え始めると その後はどちらかが滅びるまで延々と続く戦いである 昔は手で切り倒すことしか出来なかったため 成長期に2日3日放って置いた人の家は この竹に飲まれてしまったそうであったが 最近ではこの竹専用の薬品があるため苦労は無いと 現地の人達は喜んでいるそうである
そして何よりつまらないのは 食料としての活用は不可能に近い事である 地面に埋まっている状態のタケノコであっても 麻縄をしがんで居るかのような噛み応えで 味も青臭くて仕方がない いろいろと過去に試されてきたが駄目であったようである 私もありとあらゆる手段を講じて食べてみたが 全ての方法において 不味 煮ても焼いても食えないを地で行くような植物である 無念である ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
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