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作品名:ORKの口伝 作者:出雲一寸

第63回   クサニオイカ
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝85」

クサニオイカ

体長20cm前後の小型のイカの一種
その名の通り不快な臭いを発する
このイカの特徴の臭いの正体はアンモニア
体内のアンモニアの排出能力が大変低く
水揚げされた時にその臭いがするのである

このイカの生態としてその集団性の高さが上げられる
標準で万単位
時として数十万単位で群れをつくり行動する
そのため
漁師の網にかかり出すと兎に角沢山獲れてしまうのである
こうなるとその日の漁は切り上げにするしかなく
漁師にとっては実に厄介な獲物であった

しかしこのやたらと量だけは取れてしまうクサニオイカ
何とか資源として活用することは出来ないかと
水産関係者と研究機関及び大学の研究室等の連携で
数々の試行錯誤の結果
とうとう日の目を見る事となったのである

どの様にしても
アンモニア臭のせいで食用には向かなかったが
好アンモニア細菌{アンモスキ・ムシャス}の発見により
これを利用することで180度事態は変わったのである
クサニオイカをまず普通の干物にする段階で
菌の培養液を塗布する
たったこれだけでただひたすらに邪魔な獲物であった
このイカが
不快な臭いの元であったアンモニアが全て旨みに変わり
劇的にうまい酒の肴に変身したのである

味わいは
するめの味に旨みとほんの少しの酸味が加わった感じで
例えてみれば
カツオ梅の梅の酸味が少し弱まった味が足された
この様な味わいである
火で炙って食べるも良し
細く裂いて天ぷらにしても旨い
人類はまた一つ素晴らしい食材を手に入れたのである
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この文章は全てフィクションです


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