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作品名:ORKの口伝 作者:出雲一寸

第61回   キャノンワーム
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝83」

キャノンワーム

アベコベカミキリムシの幼虫の俗称
その名の通りアベコベである
成虫は体長4cm程度であるのに対し
この幼虫は
体長12cm直径3.5cmにもなる巨大ないもむしである

おもに樫の木を好んで食害し縦横無尽にトンネルを掘る
幹の直径1mにもなる巨木が
このキャノンワームの大量食害により
立ち枯れを起こすことが昨今問題とされている
しかし我々人間という物は貪欲な物で
この問題を解決する方法として
このキャノンワームを食用とすることで
この樫の木の立ち枯れ問題を解決してしまったのである
これにより現在はキャノンワームの入手の方が困難
廃材やおがくずの利用によって
養殖が研究されているほどである

養殖が研究されるほどに
この虫は美味である
硬めに練り上げたカスタードクリームかもしくは
カマンベールチーズのような食感に
サツマイモと栗の合間を突き進むかの味わいは
一部の通の間では非常に高く評価されているのであるが
虫食になれていない人達は
その概観から敬遠されている
この点真に残念である

調理法は茹でるのが普通である
焼いたり油で揚げるのは爆発の恐れがあり大変危険
なおかつ中身が漏れ出してもったいないので
よほどの希望が無い限り茹でるほうがよいであろう
まず冷水の状態からキャノンワームを入れ
中火でじっくりと温度を上げていく
沸騰させずにおおよそ10分位かけてまず中身を固める
黄色身が強くなってきたところで
お湯を沸騰させさらに10分以上過熱する
茹で上がったら冷めないようにお湯のまま食卓に並べる
食べ方は
大変皮が硬く歯で噛み切って食べるのは困難なため
子牛肉で作られる白ソーセージの様に
ナイフで皮を切り開いて中身を食す
ソースなどの味付けは不要である

調理するときのコツは
とにかく急激に加熱しないことである
茹でるにしても急に熱を加えると
せっかくの中身が皮が破れて漏れ出してしまい
非常に残念な事になる
そしてもう一つは
十分に加熱することである
これは身の安全に関わる重大な要素である

その他の虫食にも言える事であるが
寄生虫の問題がある
キャノンワームも
ピッケルギョウチュウというギョウチュウの一種の
中間宿主である
最終宿主は成虫のアベコベカミキリムシ
このピッケルギョウチュウに人間が寄生されると
直腸に肉芽種が形成されその他の合併症を引き起こすため
かなりやっかい
くれぐれも生食はしてはいけないのである
注意
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この文章は全てフィクションです


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