この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝77」
カルラエンイグチ
イグチ科のキノコ ヌメリがあって匂いも強い カサも柄も赤色であるが 管孔だけは灰褐色をしている 若いうちは饅頭型で成長するにつれカサが平に開き 最後には反り返る 見た目が毒々しい程に真っ赤である為 また味も辛みがある為 有毒と思われがちであるが無毒 食用として用いることのできる山の恵みである
上で述べたように味は大変辛く このキノコ単独で調理しても 常人の味覚ではとてもじゃないが美味しくはいただけない その辛さは文字どおり火を吐くかの如し 架空の大鳥「迦楼羅」の吐く炎の暑さを思わせる為に 迦楼羅炎の名が付けられることとなったのであるそうな
さて 単独で料理しても辛くて食べられた代物ではない このカルラエンイグチだが その他のキノコ料理に味付けのアクセントとして使用すると 俄然旨味が増すのである 何しろキノコである為 共に料理したその他のキノコの邪魔をすること無く 香り・味を相乗効果で引立て なおかつそこに 辛さを付け加えることによって 味に飽きをこさせないので キノコ好きの料理好きには重宝されるキノコである
調理法としては 大体どの様なキノコ料理にいれても合う 煮物、炒め物、汁物 ただ火を十分に通さずに仕上げてしまうと カビ臭が発生してしまうために 調理の手順の最初の方からしっかりと 火を通す事がコツである 分量としては 料理に使うキノコの全量に対し おおよそ5パーセントまでが適量のようである このあたりの分量は個人の好みである
私が食したのは キノコたっぷりのホワイトシチューであった 真冬の寒空から室内に入り 暖炉に当たりながらこのシチューを御馳走になった 秋に収穫して乾燥させてあったキノコで作った このシチュー 冷えきった体から汗が吹き出す程に 暖まった事を思い出す 体休まる森の香りのする暖かな一時であった キノコ好きの友人に感謝である ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
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