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作品名:ORKの口伝 作者:出雲一寸

第54回   ヤタメタガラス
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝76」

ヤタメタガラス

名前のヤタメタはヤタラメッタラの略
どこにでもいるカラスの
突然変異種である

もともととにかく雑食性のカラスであるが
それに輪をかけて節操無くなんでも食べる
また
遺伝子の変異過程において
満腹中枢に異常をきたしているようで
食糧があれば行動が出来なくなるまで
食べ続ける
人家のごみを漁っていたこのカラスが
腹を膨らませてのたうち回っている所を
発見されたのである
またこのカラスの発見は世界中同時期に多発したため
一時は社会問題に発展しそうになったものである

発見された当初
腹を丸く膨らませたカラスがゴロゴロしているのを
子供達が悪戯していたが
あまりに異常であるため近隣住民が通報
調査機関及び大学の研究室などで調査された結果
ウィルス性の突然変異であると特定され
現在は発見と同時に保健所への通報が義務づけられたのである

ウィルスの名前は
ハラフュ・クラマーヌ
このウィルスも新種であり当時は対処法も確立されておらず
その事が世間に知れ渡り騒然となった
しかし近年の研究の進展により
人間はおろかその他の鳥類への感染もしない
カラスにだけ感染するウィルスであると判明
世界中の人達が胸をなでおろしたのである

このウィルスに感染しているカラスは
現在世界でおよそ1%
自然条件下では
動けなくなった所を野犬に襲われたりして
死んでしまうためにこれ以上増えることはないとの
予測ではあるが
やはり感染の可能性が完全に否定されたわけではなく
見付次第駆除というのが現在とりうる最良の方法である

駆除以外の対処法としては
生きた生ごみ処理機としての利用がある
捕獲したヤタメタガラスに
食物残渣を食べてもらうのである
これはなかなかに効果的なようで
ヤタメタガラスの計画的な繁殖の要望まで出ているそうである

私の家の近所でも見掛けた事があるが
腹を膨らませていまにも転びそうになりながらも
まだ餌をつついているこのカラスを見て
なにごとも程々であるのが
いいのでは無いかと
シミジミと再確認したのである
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この文章は全てフィクションです


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