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作品名:ORKの口伝 作者:出雲一寸

第52回   タカガリコウモリ
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝74」

タカガリコウモリ

全長2mをゆうに越えるコウモリの一種
小さい個体でもコンドル並である

名前の由来は
主に猛禽類を好んで襲いかかり餌とするためである
タカガリとは鷹に狩られるのではなく
鷹を狩り餌にするのである
また世界中で同種が異名で呼ばれており
地方によって
ファルコンエネミー
アードラーイェーガー
トンビオトシ
などなど多数の呼ばれかたをしており
鷹匠やファルコナー達から大変嫌われているのである

その生態は獰猛で勇猛で危険危険
コウモリといえば夜に飛び回るイメージが強いが
このタカガリコウモリは昼と無く夜と無く飛び回り
獲物を探してその巨体で空を闊歩するのである
ほとんどの場合猛禽類にしか食指は動かないが
極稀にその他の動物にも襲いかかり獲物とする
その獲物の中には無論人間も含まれており
3匹以上で飛んでいる所を見掛けたら
こちらが一人なら成人男性であったとしても
一も二もなく全速力で逃げることをお薦めするのである

ただ不思議な事に
猛禽類の中でもフクロウ類には何故か襲いかからない
動物学者コウモリニ・クワウマイナの観察によると
同じ木の同じ枝にフクロウが止まっていても
まるで興味を示さないどころか
夜の寒さを凌ぐかのように枝の上で
ピタリと寄り添っていたそうである

現地の住人に話を聞くと面白い話を耳にした
森の狩人の御伽話とも伝説とも付かない話であるが
このタカガリコウモリとフクロウ類は
仲良くしようじゃないかとの
密約を交わしている
このような話が森の狩人たちの間で伝わっているのである

因みにこのタカガリコウモリの肉も
その他のコウモリと違わず
美味
主に肉食であるため肉の獣臭の強さは免れないが
調理法に注意すれば難なくクリアできる
どの調理法であってもしっかりと
スパイスを効かせる事が肝要である
特に香りの強い物で下処理すれば
家畜肉にはない力強さを存分に楽しめる
ただ
自力で手に入れるのは命懸けになるため
生息地の料理店でこの肉を出す店を探して食すことを
お薦めするのである
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この文章は全てフィクションです


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