この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝73」
ボウクンヤマネ
齧歯目(ネズミ目)の仲間で 世界に11種いるヤマネの一種 ヤマネの中では世界最大である 名前のボウクンは 漢字で書くと「暴君」となる
現在までで発見された個体で最大の物は 尾を含めない体長2.7m 体重1.2t 外見だけなら紛れもない猛獣であるが その性質は大変大人しく臆病 向こうから襲いかかることは皆無である
だがしかし ひとたび攻撃を加えよう物ならば 想像を絶するような反撃を食らうことであろう まずその巨体から繰り出す体当りが第一の脅威 その次に 死神の首斬りガマの如し鉤爪が振り降ろされる そしてダメ押しとして 齧歯類ならではの 巨大な門歯で体中を引き裂かれ ほとんどの生物は肉片と化すのである
全速力で逃げたとしても この暴君の姿が見えているうちは油断は禁物である 仲間とのコミュニケーションに使う超音波を なんと攻撃に転用するのである 敵対生物の近くの岩を破砕しその破片をぶつけ 相手の動きを鈍らせるのである その後の展開は上記の通りである・・・
肉食では無い為倒した敵を食べることは無い 追い払うことが出来ればそれで事足りると思われるが 一度敵対した対象が息の根を止めるまで 容赦すること無く破壊するこの性質も 暴君の名を冠せられる原因の一つである
ならば 冬眠中ならじっくりと観察できるかと言うと 全く安心できない なにせ巨体であるため 寝返りですら脅威である 実際冬眠中の生態を観察しようとした生物学者たちが 幾人も犠牲になっている さらに 冬眠中のメスは出産後の事も多く 運悪くこの個体に出くわした者は またもやまたもや上記の運命をたどる事となるのである 生息地は高山地帯なので 登山家にとっては 熊と同じくらい出会いたくない 野性動物である
因みに 肉は食用となるが 遠距離射撃で一撃で仕留めなければ 息があるうちに仲間を呼ばれてしまうため なかなか手に入れることが出来ない世界的な珍味である どうやら大変美味らしい 残念な事に 私はまだ食べた事が無いのである為 死ぬまでに食べたい物の中の一つである ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
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