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作品名:ORKの口伝 作者:出雲一寸

第50回   シキミガエシ
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝72」

シキミガエシ

シキミ科の常緑小高木
シキミの遺伝子組み替え品種である

シキミと言えば
墓や仏壇に供えたり
葬儀の時の花として馴染の深い植物であるが
非常に強い毒を持つ植物でもある
特に実は
毒物・劇物として法で指定されている
このシキミの毒を中和させる為に作り出されたのが
シキミガエシである

この植物が作られたのは
相次ぐペットの中毒死が原因である
近年ペットとして飼われ愛された動物は
墓地に埋葬される事も多くなったが
埋葬されたペットのお墓参りに連れられた別のペットが
墓前に供えられているシキミを口にし
中毒死する事件が頻発
これに対処するために多くの研究がなされた
そして現在最良と思われるのが
シキミと共にシキミガエシをお供えする方法である

シキミには線香のような臭いが有るのに
動物が間違えて口にするのは考え難いのではと
思われる方もいるのではないだろうか
この中毒死の調査結果を見たところ
嗅覚に異常が有ったようである
と言うとおおげさに聞こえるが
単に鼻づまりだったようである

シキミとシキミガエシの違いは
元は同じ植物とは思え無い程のハッキリした差が有るため
一目瞭然である
葉の形は同じであるが
シキミガエシの方が半分程度の大きさしかないのである

シキミの主な毒の成分は
シキミン、イリシン、アニサチンであるが
この内のシキミン、アニサチンを中和する成分を
持っており
それぞれアンシキミン、ノルアニサチンと呼ばれている
この様に有効な中和作用を持つが
イリシンに対する中和成分を持たせる事が出来なかったため
完璧ではない
それ故に
中毒事故に対してはやはり注意が必要である

また
遺伝子組み替え植物に対する世の中の動向如何で
今後の増殖・販売がどの様になっていくか
予測は難しいと思われる

一番簡単な事故予防法は
シキミを食べてしまいそうな
鼻づまりを起こしているペットを
お墓参りに連れていかないことであるが
そのペットが
お墓に入っているペットの子供で有ったりしたなら
お墓参りをさせてあげたくなるのが
飼い主としての人情かもしれない
あくまで人間の情である所が
難しい所である
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この文章はフィクションです


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