この文章は全てフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝65」
ウラシマトマト
読んで字の如く トマトの一品種である
実が熟すまではその他の品種と大差は無い しかし ある段階を過ぎた時点で この品種の特色が如実に表れる 実の色がおおむね5割程度赤く染まると 約20から30分で完熟・落果し腐敗を始めるのである この収穫適期の余りにも早い過ぎ去りかたから 玉手箱を開けて老人になった浦島太郎になぞらえ この名が付けられたそうである
この様に 熟している期間が短い為 大量に栽培することが非常に困難であり よしんば 大量生産に踏み切ったとしても 適期収穫の為には人海戦術を採らざるを得ないため 収益率が低い このためにどうしても栽培面積が伸びず 希少品種となっているのが現状である
ならば もう少し早い段階で収穫し 貯蔵庫で熟成させることも試みられたが 失敗 全くといっていいほど甘味が乗らず かといって酸味があるわけでもなく ただただ青臭いだけの代物になってしまい 困り果てたそうである 以上の理由から 商用作物としては扱い辛い品種である
だがしかし 樹勢が大変強く育て易いうえに 完熟した物は大変美味 小規模で自家用に作るには人気の品種である プランターでも簡単に作れるので どこででも栽培できる
また 熟し始めて 落果するまでの時間を 30秒単位で予想するギャンブルも 一部の国で行われているそうであるが 実が落果に向けて奔り始める境目が解かり難く 時間がかかるため 気の長い人しか参加できない トマト予想券の事前販売は すり替え防止の為行われないそうである この様にのんびりしたギャンブルだが 結構な人気があり 休日の競技場?には千人単位で人が集まり 一つの鉢植えのトマトを囲んで ゆったりと時間を楽しむそうである ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章は全てフィクションです
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