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作品名:ORKの口伝 作者:出雲一寸

第42回   キョウテンドウチ
この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝64」

キョウテンドウチ

ボウゼンジシツ目
シュウショウロウバイ科
この種ほぼ単独の分類である
温帯から亜熱帯にかけて分布する
漢字で表すと「驚天動地」である

まず
種から発芽した若木は
3m程度までその他の樹木と同じように生長する
ここからがこの種の特色で
その高さまで成長した後折り返し
今度は木の先端が地面を目指して生長するのである
こうしておおよそ5年で見事なアーチを形作る
さらにここから
一度地面に潜り幹から根を出すと
またもや
先端は空を目指し伸び始めるのである
こうして約5年単位でアーチを作り続けるのである

この木の作るアーチは
必ず時計周りに円を描き
そしてさらに必ず
8個のアーチで一周するのである
古代人はこの円の内側を
神聖な場所としていたようであり
儀式の後が遺跡より発見されている
集落もこの木の円を中心として拡がっていたようである

しかしこの木も
周辺民族の移入により
焼き畑や燃料利用され激減
今現在円を描く状態まで生き残っている物は
両手足の指の数に満たない為
自然成育種は保護対象となっているのである

ただ
決して絶滅することはないだろう
なぜならば
環境の変化に強く適応しやすく
このアーチ状に生長する特徴が
ガーデニング愛好家に大変気に入られており
庭の入口に多く利用されている
剪定さえ怠らなければ
一つのアーチの状態を維持できるそうである

しかし難点もあるそうで
一度アーチを描き始めると
大変規則正しく円を描くこの木ではあるが
最初のアーチはどの方向に向かうかは
運次第だそうである
この最初に向かう方向の決定には
太陽の方向が関係している説や
障害物の存在による説などが今のところ有力であるが
その説に従って栽培しても
今のところ思いどおりになったと言う報告は
出ていないのである
この様に少々気まぐれである為
他人の土地や公共地が隣接している所での栽培には不向きである
土地に余裕のある愛好家は
アーチに合わせてその他を整えるそうである

残念なことに
この木は食用には全く向いておらず
何処を食べても美味しくなかったのである
心から残念である
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この文章は全てフィクションです


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