この文章はフィクションです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝60」
センダンカミキリムシ
センダン科の落葉高木・栴檀で繁殖する カミキリムシの一種 根や皮が薬用に使われる栴檀の木の幹に 成虫は卵を産み付け 幼虫は幹を食害する
殺虫効果も有るとされる 栴檀の木を平気で食べて育つこの幼虫は これ自体も薬用とされる 古来より重宝され 栴檀のそれ自体よりも高い薬用効果が得られるため 生薬市場において 非常に高価で取り引きされるそうである
この様に 薬効が高まる原因は センダンカミキリムシの幼虫が持つ体内細菌 トテモニ・ガクスルスによる作用であることが 昨今の研究により明らかにされたのである
だがしかし センダンカミキリムシの成虫は 卵を産み付ける以外は 栴檀の木には一切近付かず 他の木の樹液を吸って生活する これは幼虫期に 細菌感染などのリスクを軽減するためと 考えられている
近年 生薬として出回る物は 乾燥させて粉末にした物がほとんどであるが 昔は採ったそのままの生きた虫を 踊り食いしていたそうである この時 その恐ろしい程の苦さから どの様な屈強な益荒雄でさえも 顔をしかめたそうである これが 「苦虫を噛みつぶしたような・・」と言う言葉の 語源の一説だそうである
ちなみに私も食べてみたが 顔をしかめるどころか どんなにうがいをしても取れない苦みが 過ぎ去るまで 声を殺してひたすらに 泣いてしまったのである もう食べない・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この文章はフィクションです
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