新天地
「全国サッカー大学選手権大会! 宮城代表の仙台学園大学! 千葉代表の船橋商業大学に敗れ1回戦で姿を消しました!」
試合終了の笛を聞いた瞬間、俺は人工芝に倒れ込んでいた 悔しさと疲労が完全に体を支配して一歩も動けない その場で顔を両手で覆い、泣き顔を隠していたが 監督が倒れている俺の腕を引っ張りなんとか立ち上がらせた やや小柄、174cmの俺の体は画面越しだといつもより小さく見えた
『え〜次は塩釜〜塩釜です。 お忘れ物なさいませんよう、気を付けください』
車内にアナウンスが響き渡る どうやら目的地に着いたようだ 俺は今携帯電話で見ていた試合の動画を停止し、駅のホームへ降りた 春間近だというのに宮城の風は冷たく、雪もチラついている そして海が近いということもあってか磯の香りがここまで漂ってきた 宮城県塩釜市・・・ ここが俺の新しく住む町だった
俺の名前は「 神楽坂 隆弘 (カグラザカ タカヒロ) 」 子供の頃からサッカーが大好きで Jリーグの選手になりたいという夢を持っていた 大学では県内のサッカー名門校、仙台学園に入学してレギュラーの座を掴みとったが 全国選手権では毎年1回戦で敗退し、プロリーグからのオファーも届かなかった サッカー部の仲間の多くは3年生で引退し、就職活動に切り替えたものの それでも俺はプロの道を諦めず 就職活動をそっちのけで大学4年生の冬まで大会に出場しアピールを続けていたが 結果が変わることはなかった いくつかのチームのトライアルも受けたものの合格することはできず 社会人クラブの入団も就職が困難ということで諦めざる負えなかった 悔しかったが 俺はサッカーの夢を諦め、就職することに決めた
就職活動をせずに4年生まで部活を延ばしたため ちゃんと就職できるのか不安だったが サッカー部顧問の丸岡監督の紹介で 宮城県塩釜にある旅館になんとか就職を決めることができた とにかく就職先が見つかったのだからここで精一杯働くしかない 夢にスッパリ諦めがついたわけじゃないけど せっかく監督が俺に就職先を見つけてきてくれたのだから それに恥じない仕事ぶりを発揮しなくてはいけない 俺はそう決心して見慣れぬ駅の改札をくぐり抜けた
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