僕と莉菜はファミレスで食事をして、今までのお互いの7年間を語り合った。 専門学校時代の事、社会人になってからの仕事の事。 莉菜は今、藤川町で美容師として働いてるそうだ。
「透、なんか変わったね、働きだして大人っぽくなったよ」
『あっいや、そんな事ないよ、まだゲームもやってるし好きな漫画はワンピースだしっ』
(あ〜そんな事を話したいわけじゃないのにっ!)
食事を終えて、僕の車で走り出した。 その日は土曜日。莉菜の店も明日は休みらしかった。
暫くは二人とも沈黙が続いた。
カーラジオからはSPEEDの「STEDY」が流れてた…
初めて莉菜の手を握って歩いた年に流行ってた曲だ。曲に乗せられるように僕は口を開いた 『あのさ、覚えてる?中学の時に俺が莉菜の手を引いて歩いた日の事…』
「あ〜懐かしいね〜 すっごく嬉しかったんだ、あの日。透って優しいなって凄く。あの時さ、好きだった先輩に告白して、見事に振られちゃったんだよね〜懐かしいな〜」
『えっそうなんだっ。なんかさあの時むしょうにほっとけなかったんだ莉菜の事、おれさ…あの頃から莉菜の事…』
俺が話してる途中で、莉菜は右手の人差し指指を俺の口にそっと当てて言った。 「う〜ん、ダヨだよ私は…水商売もしたし、流産も…今だって不倫してるし、私に透は勿体無いよ…綺麗には生きてこれてないからさ…」
そっと横を見た莉菜は、涙を溜めてグッと我慢してた…
僕は車を海浜公園の駐車場に停めて、エンジンを切った。
『俺さ、何聞いても気持ちは替わらないから、今日莉菜を呼ぶ時に決めてたんだ。俺は二度、繋いだままでいれる手を離しちゃったから…今日、莉菜が俺の手を取ってくれるなら二度と離さないって…だから話して。』
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