けして自慢にはならないが、僕は12年間莉菜だけを想い続けてずっとフリーでいれるような純愛小説まっしぐらな男じゃなかった。 思春期になれば、S〇Xだって興味あるし、女の子の身体に自然と興味は湧く。 実際男同士になると、いつしかそんな会話になるときはある。 そんなある日、好きな子は誰だって話しになって僕は莉菜のことで頭が一杯になった。 ただそれを口に出来なかったけれど・・・なんだかとても恥ずかしくて堪らなかった。そんな中、話は盛り上がって一人ずつ名前を出さなきゃいけない雰囲気になった。 僕はつい「美空だよ」って思わず口走ってしまった。
これが運の尽きだったんだ。 その後すぐに貴裕が「莉菜が好きだ」って言い出したんだ。
誤魔化す為とは言え、美空の名前を出した僕は貴裕の恋を表向き応援しなきゃいけなくなった。
皆と一緒にいるときは平気だったけれど、あの頃の僕は莉菜を明らかに意識してたんだと思う。 だから二人きりになるのをなるだけ避けた。 何をしていいか頭では判ってる、だから二人きりになれば抑えを効かせる自信がなかった。
中2の夏。 僕が美空に花火に誘われた日まで …
その日の帰り道、美空にキスをされた日まで…
つい美空の身体を抱き締めてしまったあの日まで…
僕は莉菜への気持ちを隠すために、莉菜を避けていた。
そしてその日から、そんな自分の気持ちと、何故だか莉菜と美空を裏切ってる気持ちに苛まれて、莉菜と距離を置くようになった。
中学を卒業する日に、美空に別れを告げるて、正解には高2の春にたまたま夜中の部活帰りに莉菜と会ったあの日まで僕と莉菜の手が繋がったまま歩くことはなかった。
|
|