僕が華山莉菜(かやまりな)と初めて出逢ったのは、中学の入学式の登校時の桜並木の下だった。
莉菜は1人で桜の下に、立っていて、散り舞う桜の花びらが凄く莉菜に似合ってた。 まだ13歳にならない、小学生を卒業したばかりの僕には凄く莉菜が大人に見えた。
それと一緒にこう胸の奥がグッて疼いた。その頃の僕にはそれがなにか解らなかった。トキメキ?ううん、多分それとは違う何かだったんだ。
同じ小学校だった慎二と学級委員の紗英、その知り合いの莉菜、学年一の秀才だった貴裕、ソフト部の美空と僕の6人は何故だか、妙に仲が良かった。
時間が空いてる時はいつもバカな話ばかりしてた。
ある日、帰りが僕だけ遅くなった日。
偶然、教室で1人で泣く莉菜を見付けた。どうしたらよいか解らなかった。今ならそっと抱き締めたりとか出来たのかもしれないけど、その当時の幼い僕の経験では戸惑うか見ない振りをするしか選択肢はなかった。 ただ、見ない振りは出来なかったから莉菜にタオルを渡してどうしていいかオロオロするばかりだったのだけど。
20分ぐらいして莉菜は少し落ち着いた。僕は莉菜が鞄の用意を終えると黙って莉菜の手を引いて教室をでた。
近くの行きつけのコンビニまでずっと。
二人とも黙ったまま…
なんでそんな勇気が出たのかいまでも解らない。
ただその時の、勇気がもう少し踏ん張れていれれば、僕と莉菜の関係は、こんなに長くかからなかったかも知れないだけど…
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