8月4日の慎二からのメール。 それは中学から仲の良かった友人の命の終わりを告げるメールだった。
早川紗英。 僕と同じ25歳の彼女は、自らの人生に自ら幕を下ろした。 いわゆるロクデナシって男に騙されて、短い人生を自分の手で強引に終了させた。 僕たち中学からの仲良しメンバー6人が全員揃うのは二年ぶりだった。 お互い仕事が忙しくて、いつも誰かが抜けてた。
まあ10年もの間、変わらずに連絡を取り合ってるのは珍しいんだろうけど。
ただ全員揃うのがその内の誰かの葬式なんて、胸が痛くて堪らなかった。多分みんながそうだっただろう。涙を流すのに準備なんていらなかった。紗英の眠る式場に揃った五人は、互いに無言で、抱き合ったり、顔を覆ったり…
いつもバカばかりやってた僕らは、こんな瞬間がこんなに早く訪れるなんて、思いもよらなくて、気持ちの準備なんて出来てるはずなくて…
ただ眠るように、棺の中に横たわる紗英を見て、うつ向くしか出来なかった。
紗英の助けを聞いてあげれなかった。 学生を終えて、社会人になって、いつしか自分の忙しさばかりに気をとられて、あんなに仲がよいと思ってたのに。
どんだけ、距離が出来ようと、僕らは他とは違う。 特別なグループだと思えていたのに…
誰も紗英を救えなかった。 大切な友人を失った悲しさと、大切な何かが崩れていくような怖さに僕らは、ただ涙を流すしか、悔しさを堪える術がなかった。
それから、二週間後。
僕は莉菜にメールをした。 伝えたい言葉があった。
例えば、不意に無くしてしまいそうになるなら、後悔をしないよいに。
知り合って12年間、胸にずっとしまい続けた気持ちを伝える為に…
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