「じゃ早速なれ初めでも聞かせて貰うか〜」
直巳は後部座席から、車に乗り込むなり質問責めにしてきた。 なんで直巳までいるかと言うと、昨日酔いつぶれて、友達に送って貰ったからだそうだ。まぁ性別は不明なんだけど・・「で、なんのなれ初めなんだ?」何故か須藤さんも後部座席に座り、直巳と盛り上がってる。 「あっこれっすよ、これかわいっしょ〜透の新しい彼女なんすよ」 『あっおまっいつの間に写メ移したんだ?』 「あっほら運転手は前向くっ!!事故るだろ(笑)」
まったく、人のことで盛り上がってるくせに。 「えっこれ莉菜ちゃんじゃん。チワワブースの。」 「あれ?須藤さん知ってんすか?」 「うん、嫁さんが行ってる美容室の子だよ。俺が待ってる間忙しいのに珈琲くれるから覚えてる。莉菜ちゃんだろ?樋口?」
『えっ?あっそうです。莉菜です。今から行くのも美容室までですし。知り合いだったんですね』
「知り合いってか、顔見知り程度だけどな、俺が店長のチワワに気に入られたから少し話すようにはなったけど。確かに可愛いよな〜よく莉菜ちゃん目当ての野郎どもが通ってるみたいだけど」
「そんな可愛いっすか?なんかちょっとだけ羨ましくなってきたなぁ、透、コンビニ寄ってアイス買ってこいよ(笑)」
『無理だろ、ここからだと遠回りになるし』
「「じゃあなれ初めでも聞こうか?時間ないし(笑)」」
綺麗に、須藤さんと直巳はハモってて顔を見合わせてまた笑ってた。 まるで記者会見してる人の気分になった。
僕と莉菜がもう一度会えたのは悲しい知らせが届いたせいだった。
1ヶ月前のまだ夏真っ盛りの暑い日だった…
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