須藤に抱かれたままのバロン達の横を、莉菜を乗せた、樋口の車が横を通る。
車の二人を眺めたバロンの眼には、強く握られた二人の手が見えた。
バロンとノワールはお互い眼を合わせ、静かに微笑みながら、ニャァ〜ンと一声鳴いた。
月は今日も静かに瞬いている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー こんばんは、紳士な白猫バロンです。今までの話は、樋口さんが公園でこっそり私に聞かせてくれたお話です。樋口さんと莉菜さんはこれからどうなるのか?彼等にどんな運命が待ち受けているのか? それは私にもわかりません。しかしひとつだけ確かなことは御二人ならきっと幸せになれるでしょう。何故ならば二人の物語は始まったばかりで、僅かな一滴の片思いは、現在大きな両想いの川になり、やがて深い深い愛に満たされるでしょうから。それではまたの御機会に。ごきげんよう。」
半年後…
『こんばんは、黒猫のノワールです。最後に1つだけ、皆様にお伝えしなきゃと思いまして。実は今日のお昼にママの毛のお手入れについていった時に、莉菜さんが私だけに教えてくれた事がありますの。実は莉菜さんに赤ちゃんが出来たみたいですの。まだ樋口さんには内緒。たぶん今頃話してるとおもいますわ。ほらパパの携帯が鳴り出しました。御二人と新しい命に幸運を。それでは皆さんまたの御機会に。ごきげんよう』
ニャァ〜ン
一滴の片思い
〜Fin〜
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