再び現在…
僕は須藤さんと、直巳に2人の話を目的地までの車内で話した。もちろん莉菜の過去はかなりはしょったけど。 「うぉぉ〜ええ話やないかい。」話を聞いていた須藤さんがいきなり大声をあげて泣き出した。 「いきなりなんすか、もう泣くことないでしょ」そんな事を言いながら直巳はバックから予備のタオルを出して須藤さんに渡してる。 「だってよ、莉菜ちゃん良い子なんだよ。結構気が強いけど、可愛いのを鼻にかけてないし、嫁の話を沢山聞いてくれるし…樋口〜幸せにしてやんだぞ〜」
『あっありがとうございます。頑張ります』
「莉菜ちゃんがそんなに可愛いなら透の心配は他人に奪われない気を付ける事だなぁ。持てるんだろ?」相変わらず直巳はこんな場面でちゃちゃを入れる。少しだけ大きなお世話だと思って苦笑いをした。
「そうなんだよ、俺が知ってるだけで15人にはコクられてたぞ、全部客だけどな」 笑いながら言う須藤さんの目にはさっきまで流れてた涙は消えていた。
『昔からですか、大丈夫。ちゃんと手を握って離しませんから。』
「おぉ〜幸せ者は違うね〜今度なんか奢れよ〜」
『何でですか!!。そろそろ着きますよ。美容室でいいですか?』
「あっうん、ここでいいよ。歩いて5分ぐらいだしわざわざUターンさせるの悪いしな」
「俺も、近くで待ち合わせあるからさ。」
『また女の子か?あんまり遊び過ぎるといつか刺されるぞ』
「バーカ、そんなんじゃないよ、友達、友達」
話の矛先は直巳に向かいながら、僕は車を美容室の三台停まる駐車場の左端に停めた。
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