「莉菜ちゃん。」
ポンッと肩を叩かれて莉菜は、ビクッと身体を震わせた。振り替えるとよく整えられた髭を蓄えた、50代程の背の低い男性が立って微笑んでいた。
ノワールは莉菜が身体を震わせた拍子に地面に降りて二人を静かに眺めている。 「店長〜あっごめんなさい。昼休み過ぎてますね。直ぐに戻ります。」
「あっいいよいいよ。そんな顔で戻ったらお客さんびっくりしちゃうよ〜、せっかくの美人が台無しだぁ、ちょっと喫茶店ででも話しようか、今日は割りと暇だし後、一時間ぐらい大丈夫でしょ」
そう言うと店長は、しゃがみこんで「ありがとね〜」と言うと、ノワールの頭を優しく撫でた。
そして立ち上がり、携帯を取り出すと、電話を掛け始めた「ん〜私、え〜と香山くんとちょっと出てくるからさ、うん、一時間位かな。うん、うん、じゃあ任せたよ〜」 店長が電話を切ると同時に何処からともなく、白猫バロンが現れ、ノワールにじゃれ始める。
店長は微笑みながら、二匹を眺めていた。
「お姫様にもお迎えが来たみたいだし、莉菜ちゃんじゃあ行こうか。特別に今日はケーキを付けてあげちゃおうかな。美味しいチーズケーキをラマンテのオーナーがこの前から食べにこいってしつこかったからさ。ん〜皆には内緒。」そう言って、口に人差し指を当てた。
「はい。ありがとうございます。」 「あっノワールちゃん、今日はありがとね。」そう言って莉菜は別れ際に小さく手を振った。
ノワールとバロンは揃ってニャァ〜ンと鳴くと、しばらく二人の後ろ姿を眺めた後、足早に公園を後にした。
------------------------ 「どうでした?私のお話し。彼女も彼女で痛みを抱えてましたわ。それではパパ達がそろそろ着きそうですから、また今度お会いしましょう」
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