「実はね、今凄く好きな人がいるの。その人は子供の頃からの幼なじみなんだけど、この前告白されたの。す〜ごく嬉しかったぁ。まだ中学生の頃から好きだったから…あいつね、すっごい鈍くてさ〜、しかも私の友達と付き合っちゃうし。ほんと…」 そう言う、莉菜の顔は僅かに微笑んでいる。 「しかも、不意にくさいセリフととか言うの…似合ってないんだよね〜どっか頼りないキャラだったのに…いつのまにかさ〜なんか格好良くなっちゃって。でも…嬉しかったなぁ。ずっと手を離さないでいてくれるなんてさ〜。ほんと似合わないのにさ〜凄く嬉しかった」
そう言った莉菜の眼には微かに涙が浮かんでいる。
「ねぇ、ノワールちゃん、私ね、まだ自信がないんだよ。会ってない時間だったとはいえ、赤ちゃん、流産してから子供が出来にくくなってるって言われたし、この前までなんか、23歳も違う妻子付の男と不倫してたし…あいつの真っ直ぐな気持ちに答える権利なんかあるのかなぁ〜て。凄く後ろめたくてさ。ただ寂しいからって色んなものに流されたり。ダメな女なの。まだ自信がないのよ。あいつに愛されていいのか…あいつをこのまま愛していいのか…」
ノワールは静かに起き上がると、静かに莉菜の左頬にそっと口づけをした。
(もう、自信持ちなさい。貴女は素敵な女性よ。この私が保証するわ)
小さく、ニャンと鳴くとノワールは二度と頭を莉菜の顔にそっと擦り付けた。
莉菜は両目に涙を溜めながらノワールを抱しめると我慢の限界が来たのかポロポロと涙を流し始めた。
抱きしめられながら、ノワールは自由のきく右側の前肢で、莉菜の左肩をポンポンと叩いた。まあ多分莉菜には当たったぐらいしか感じなかっただろうけど。 (きっと大丈夫よ、うまくいくから)
そんな彼女達の後ろから静かに近寄る影が伸びていた…
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