謙二と瑠佳の関係は不思議な関係だった。 付き合っているかハッキリしない。だがお互いに気持ちは理解している。 お互いに口下手だから殆ど会話がない。 意外と瑠佳は料理が得意だった。 二人は買い出しの為によく出掛けるようになった。
長い間の不摂生でボロボロだった謙二の身体もいつの間にか憑き物が落ちるように快調になっていった。
一緒に住み始めてい1ヶ月半が過ぎた頃、丁度その日は瑠佳の二十歳の誕生日で二人は満月を観ながらアルコールを口にした。
とても静かな夜だった。
テレビの音の他は、鈴虫の奏でる小さな合奏だけが鳴り響いていた。
寄り添う二人は初めてKissをした。 不器用なKissだった。しかし幸福の溢れるKiss。 数秒だったのか数分だったのか、永い余韻の後で二人は肌を重ねあった。
それはとても映画の様に綺麗な訳ではなく、荒々しく、不器用な手探りの様な情事。 何度も何度も唇を合わせて、強く互いの背中を抱き合う。
不意に瑠佳はふと泪を浮かべていた。
須藤は不安はそうに『大丈夫か?』と尋ねた、その度に瑠佳は首を縦に振る…
たぎるような情事の後で二人は火照った身体を休める様に眠りに堕ちていった。 互いの身体を寄せ合いながら。
翌朝、目覚めた謙二は自分の横に人気の無いことに気付いて慌てて瑠佳を探した。
キッチンで瑠佳は謙二のシャツをダブダブに着ながらコーヒーを入れていた。
心配して覗き込む謙二の額に瑠佳はバシッーンとデコピンをした、痛がる謙二を観ながら瑠佳は初めて声を大きく笑った。
謙二も額を擦りながら大笑いをした。
二人の中で何かが変わろうとしていた。
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