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作品名:刻(とき)の代償 作者:くだりゅう

第38回   seen38〜10 years of love〜
6年目…… 謙二は久々にドゥルーシラと逢っていた。

実はドゥルーシラは一年に一度ぐらいでぶらっと謙二の前に現れた。

けして瑠佳との話を深くするわけでもなく毎回同じ屋台で、酒を交わした。

それは不意に訪れる、謙二の中に弱い心が表に出そうな時に現れ、決まった屋台で共に呑み、警告とも、優しさとも言える時間を過ごした。

七年目……その年の初頭、井上と彩花の結婚式が行われた。
二人は瑠佳の分までと謙二を結婚式に招待した。


その夜、謙二は瑠佳の病室でただただ静かに泣いた。


8年目……酒井孝が倒れ入院した。

胃に腫瘍が出来ていた。早期な物で病状は重くなかったが、孝はすっかり弱気になっていた。

謙二が見舞いに行くと、「後を頼んだよ」と告げられた。謙二はいつまでも強い、お義父さんでいてくださいと告げた。
孝は謙二の事を、実の子の様に感じていると謙二に告げた。
その日、病室は男泣きにぬれた……


その年の夏、井上と彩花の間に女の子が産まれた。


酒井孝はすっかりと孫馬鹿になっていた。

瑠佳の家族が縛られた呪縛は少しづつ解かれ初めていた


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