四年目、謙二はほんの少しくじけそうになった。
菅井亜樹奈の本当の不倫相手だった長沢博貴が亡くなり、亜樹奈の相談相手になっていた。
弱った亜樹奈から頼られ過ぎそうになった……
首から提げた【祈り】の石を見て、謙二は寸前の処で思い止まった。
亜樹奈は、泣きながら「大丈夫だよっ」と強がってみせた。
5年目……取引先の須藤氏の紹介で雑誌の編集者と知り合った。 その彼女からの紹介でルポライターの我妻晋吾(あずましんご)と顔見知りになった。我妻は謙二と瑠佳の二人の事を取材させてくれとしつこく言ってきたが、謙二はそれを頑として受け入れなかった。
瑠佳の家族にも迷惑が掛かるからと。
謙二は30を迎えていた 。
その年の終わりに、謙二は終生の友である井上秀司と出逢う。
彼は瑠佳の姉、彩花の恋人だった。
彩花が瑠佳の事があり井上との結婚を思い止まっているのを、説得してくれないかと、謙二に相談してきた。
何度もそれについて、逢っている内に謙二も井上もお互いを、かなり親しく思うようになり、謙二の説得で彩花がプロポーズをOKしてからも、度々会うようになっていた。
謙二は井上のエリートながらも気取らない姿を気に入っていた。
井上は謙二が瑠佳に見せる一途な姿に尊敬の念を抱いていた。
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