謙二と瑠佳の事は何時しか謙二の家族にも知れるようになる。
たぶん亜樹奈経由で……
謙二が瑠佳の存在を両親に話した時にたまたま、母方の叔父が家に来ていた。
両親よりもその叔父が謙二達に賛成してくれていた。
そんなある日、瑠佳の事件から3ヶ月程たった時、謙二の両親が車の事故で亡くなった。
色んな事をしなければならなかった。しかし合間、合間を見付けて謙二は瑠佳の所へと出かけた。
叔父が謙二のサポートをしてくれていた。
瑠佳は病状の危機は脱していたものの、目覚める事はなかった。 深い深い眠りに堕ちて、医者も原因が解らないままになっていた。
両親の事が落ち着いた頃、謙二は瑠佳の父親である孝に呼び出された。
小さな居酒屋で、二人だけで酒を交わし、謙二は緊張のあまりまったく話せなかった。
その内、孝はぽつりぽつりと謙二に語り始めた。
自分が学生結婚で、当時両方の親に大反対の中、結婚したこと。
そんな親類を見返す為に精一杯働き、何時しか家族をかえりみなくなっていたこと。
何時しか自分が、大切な娘達の事を何も知らない事に気付いた事を。
瑠佳の事があり、隠し隠ししていた家族の現実を突き付けられた事。
二度は言わないからと、前置きして孝は「瑠佳を頼む」と謙二に頭を提げた。
謙二は帰り際に見守った孝の背中がとても大きく見えた。
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