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作品名:刻(とき)の代償 作者:くだりゅう

第34回   seen34 〜10 years of love〜
「すまないねぇ、大切な事を忘れててね」

珍しくドゥルーシラがバツが悪そうにそう話した。

『忘れた事って、まさか瑠佳の病状になんか?』

「いやいや、まったく別件何だけどね、一応アンタは五年後の未来から来たわけだから、記憶を消さなきゃいけなかったのさ。」

『記憶を消すって、全部忘れるって事ですか?そんな……』

「いやいや、早とちりしないでおくれ。あの子と私達の記憶以外さね。じゃなきゃアンタは未来の出来事を知ってる訳だから、変に介入し過ぎて、歴史を変えちまったらいけないからねぇ、とりあえず万が一って事さ。」

『あぁ、なるほど、それは……仕方ないかも』


「良かった、理解が早くて。ほら直ぐに終わるからね」

そう言って、ドゥルーシラが謙二の頭に手をのせると、何だかむずむずしてくすぐったい感覚を覚えた。

「ほら、もうすんだよ。なんか覚えてるかい?アンタが来た“刻”の世界情勢とか、知人の出来事とか思い出してみな」

『はい、え〜と、』

謙二は必死に思い出そうとしてみたが、まったく思い出せない。瑠佳との記憶は鮮明な程に残っているのに、他の事は思い出せない。


「ヨシッ、問題無さそうだね。先は長いよがんばりな。」とドゥルーシラは謙二の背中をドンッと押した。


その日、病室で瑠佳の父親の孝にあった、孝は謙二を見付けると無言のまま病室を後にした。


それから暫くして謙二は孝から呼び出された。


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