朝、眼を覚ますと謙二は不意に朝食をとっている両親に『ありがとう』と告げた。
深い意味はなかった。
ただこの数日で、不思議と両親の顔を見て、感謝の感情が湧いてきて、つい口に出してしまった。
謙二の両親は突然の事にめんをくらっていた。
勤め先に暫く休む旨を伝え、瑠佳の病院へと向かった。
途中、花屋で花束を買いゆっくりと病院に向かった。
そういえば、朝光太郎からメールが届いていて驚いた。
内容は、瑠佳と謙二のパソコンと携帯のメールに細工をしたという内容だった。
パソコンのメールソフトを調べると、謙二が元いた“刻”の瑠佳と出会った時のメールが日付だけ替わり送受信してあるように残っていた。
調べると、謙二が立ち上げたホームページが内容はデタラメに、立ち上げられており、そこでのやり取りも今より少し前の日付で書かれていた。
多分これがドゥルーシラが言っていた、サービスかも知んない。
謙二は病院で瑠佳の姉と母親に自分達の関係を説明した。
始めは疑われていたがこの刻を駆ける前夜、瑠佳との最後の食事の日に瑠佳が話していた家族の話をして、何とか半信半疑のまま見舞いを許された。
次の日に、姉の彩花が瑠佳のパソコンを調べ瑠佳と謙二のメールのやり取りを見つけた。
そして瑠佳の日記を見つけ、母の酒井楓と彩花は謙二の言動を信用する旨を伝えてきた。
それから10日間、謙二は瑠佳のベッドに毎日見舞い現れた。
そんなある日、謙二はドゥルーシラに再び遭遇した。
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