「なーに、簡単な事さね、アンタは明日から毎日、あの子に逢いにいって、呼び掛けるんだ。あの子は独りじゃ無いってね。アンタはどんな時もあの子に逢いに行かなきゃならない。つまりアンタの此れからの10年はあの子の為に使わなきゃならない。」
『ああ、そう言う事……それって何分以上とかって?』
「いいや、ないよ、時間は気にしなくていいさ、ただアンタがちゃんとあの子に自分が忘れずにちゃんと覚えていることを伝えるだ。……あの子を闇に落とさない為にね」
『……はい、わかりました。でもどうやって、逢いに行こう……今の瑠佳と俺は何の繋がりも……』
「まあ、そこは一つだけサービスしといてあげるよ、その後はアンタ次第だよ。」
『!?、わかりました。きっと…約束は守ります。』
謙二の返事を聞き、ドゥルーシラはまた優しく微笑んだ。
「あぁ、期待してるよ、今日はもう帰りな。ああそうだ、ガルフ!」
「ハイ、出来ておりますよ。」とガルフと呼ばれる灰色の猫はあの透き通るピンク色が繋がったペンダントを口にくわえ運んできた。
「これを、肌身離さず持っておきな。」
ペンダントを受け取ると、謙二はそれを首から下げた。
『はい、色々とありがとう。ドゥルーシラさん。』
何度も、三人に頭を下げながら謙二は店を後にした。
その日は、誘われるように深い眠りに落ちていった。
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