ンの2、3分前……
稲守の振りかざしたナイフが亜樹奈へと向かおうとした時に、小さな影と大きな影が二人へと飛び出した。
刺されると感じた亜樹奈はギュッと眼を瞑る。
ヒッ!!
と微かな悲鳴とドカッドカッと誰かが暴れる音がしてゆっくりと眼を開けた。
亜樹奈には目の前の状況が一瞬では理解出来なかった。
目の前には稲守が長髪の背の高い男性に押し倒されている。 自分の目の前には、ピクッピクッと震えて倒れている少女が見える。
反日常的な風景に亜樹奈は瞬間的に錯乱状態になり、叫ぼうとした声も声に成らない。
直ぐに、前方から謙二が走って来るのが見えた。
「げん、じ〜」必死に絞り出した声は謙二をすり抜け霞とかす
謙二は倒れている少女に走りより抱き上げると、知り合いかの様に彼女の名前を呼んだ
「ルカ…」
呆然としながら、亜樹奈は遠くからサイレンの音と、制服姿の警官と救急隊員の姿を視線の端に見付ける。
亜樹奈は(助かった) と思った。
一連の事態は自分の範疇を越えている。
泣き叫ぶ謙二の姿を見ながら、身体から力が抜けていくのを感じ、その場にへたりこんだ
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