なんで?……
瑠佳にはその言葉しか浮かばなかった。 あの時と同じ様に、謙二の友人と、男が言い争っている。
瑠佳は気配を悟られないように出来るだけ近付いて行った。
「だからっ離してよ。ちゃんと断ったでしょ?」
「菅井君。いや亜樹奈……なんでそんなこと言うんだ。それにさっきの男は何だ?君はどうして…」
「あれは、只の幼なじみよ。送って貰っただけ。」
「いや、いいんだ。言い訳なんて聞きたくない。何時しか君は売女になってしまったんだな。俺がこんなにも愛してるのに!!!!!」
「何で?私は貴方の事は」
「お仕置きが必要だな。うんそうだ。お仕置きが必要だ。」
「なに?何するの?い…いや……」
「君が悪いんだ、僕の気持ちを知りながら、弄ぶから。」
男はスーツの内ポケットから、ナイフを取り出すと、亜樹奈に刃先を向けた。
「いや!!ヤメテ。イヤー!!!!!!」
「亜樹奈、こうすれば君は僕の物だ……」
男はゆっくりと亜樹奈に近づく、亜樹奈は恐怖に身体が硬直して立ち尽くしていた。
『亜樹奈ー』
微かに遠くから、亜樹奈を呼ぶ声が聴こえた。
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