あの日と同じベンチに座り、瑠佳は謙二の事を考えていた。 高校生の自分に戻り、ドゥルーシラの店に寄って幾分かの話をして、ここに来た。
光太郎と呼ばれる男からドゥルーシラの過去を聞いた。
異端と呼ばれ蔑まれ、罪を犯して、呪いをかけられた。
ドゥルーシラを自分とダブらせて瑠佳は思わずドゥルーシラを抱き締めてしまった。
自分の“刻”を奪いさる張本人なのに、その時はどういう訳かドゥルーシラが小さく怯える少女に見えたから。
謙二が瑠佳の為に用意した指輪を眺めながら、謙二は今頃は友人を送り届けているだろうと想像していた。
出来るならもう少し、一緒に居たかった。
でも……これで良かったんだと自分に言い聞かせた。
話し声が聴こえてふとそちらを見ると、
男女が此方にも向かってくる。
何やら言い争っているように見える。
瑠佳が眼を凝らすと、それはあの日と同じ二人に見えた。
|
|