『亜樹奈って、あれ?恋愛とか悩んでる?』
結局、色々考えたにも関わらず謙二は、久しぶりに(?)観た亜樹奈を前にしてすっとんきょうな言葉しか出せなかった。
「えーと…そんな事話すために呼んだの?そりゃまあ今は、順調よ。」
『そうか、ならいいんだ。ほらストーカー?そんなのになってないか心配だったからさ。』
「え!?なんで知ってるの?誰から聴いたのよ?」
『いや、ほらこの前不倫だって言ってたからさ、』
「そんなこといったかなぁ。大丈夫よ。わたし…今は幸せだし。それに…」
『それに?』
「稲守の奴も、この前きつく言ってやったからもう近付いて来ないでしょ。」
『あ、やっぱり…』 「やっぱりって何よ、まさか稲守の事も知ってんの?まさかあんたまで…」
『ち…違うよー。ほら、あの子に聴いたんだよ、髪の毛が長い。』
「あぁ、彩かぁ。あいつ〜。とにかく私は大丈夫だから。」 『あ…あぁ。そうだもう暗くなり出したし、近所まで送ってくよ。』
「え?いいよー。もう子供じゃ無いんだしっ。」
『頼む、今日は送らせてくれないか?』 謙二は是が非でもと、つい亜樹奈の腕を掴んでいた。
「ね〜ちょっと痛いよ。分かった、分かったから話して。」 『あっごめん、ごめん。つい。』
「まったく、アンタは昔から心配症なんだから。も〜、昔これぐらい強引だったら良かったのに……」
『え?』
「ううん、何でもないよ。さあ行きましょうか。」
代金を払い、二人は喫茶店を後にした。
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