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作品名:刻(とき)の代償 作者:くだりゅう

第16回   seen16〜過去の真相〜
黒いフードの女と別れた謙二は公園近くの喫茶店に入って、此れからの対策を考えていた。

先ほど、自動販売機でジュースを買おうと財布を覗くと、挟んだ覚えのない、新聞の切れ端が挟まっている。

手にとり内容を確認すると、それは亜樹奈の事件に関してのものだった。

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9月18日の夜19時頃、○×町の公園で刃物により重症をおった女性が発見された。 女性は同町のOL菅井亜樹奈(21)で、幅4.2cm、刃渡り約20cmの刃物で腹部を三ヶ所刺されており、発見されて病院に搬送されたものの、二時間後に息を引き取った。
警察は近くにいた会社員、稲守康博容疑者(36)を傷害致死及び銃刀法違反の容疑で緊急逮捕、稲守容疑者の近くには犯行に使ったと思われるナイフを落ちており、返り血を浴びたと思われる衣類を身に付けていた。また稲守容疑者は極度の精神錯乱状態に陥っており、事情聴取が出来ない状態と見られており、現在は警察病院にて治療を受けている。 なおその後の調べから凶器と見られるナイフから稲守容疑者の指紋が採取されており、警察は同上の容疑で起訴立件を急いでいる。
稲守容疑者は被害者の菅井亜樹奈さんの上司であり、警察は男女間でのトラブルがなかったか等の人間関係の裏付けを急いでいる模様。


―――――――――

改めて、記事を読み返してみて謙二は妙な違和感を感じた。

亜樹奈は謙二に不倫をしている事を認めてはいたものの、トラブルがあった様には話していなかった。
と言うより交際は順調だと言っていた。
確かこの後の週刊誌等の記事でも、亜樹奈は不貞の相手がいたものの、それが誰だかは廻りの同僚や友人も感知していなかったし、稲守が亜樹奈にストーカー行為を起こしていた節があったから、別れ話になりストーカーになった稲守が亜樹奈を殺害したという見方が強かった気がする。

確か結局、稲守は気が触れたと言うか、言動がおかしくなったままで精神病院に入れられた後、三年後に病死したはずだった。

謙二は、真相を知るためには亜樹奈に交際相手について詳しく聞かなくてはと強く思い始めていた。


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