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作品名:刻(とき)の代償 作者:くだりゅう

第10回   seen10〜すり返られた世界で〜
謙二は自分の置かれている状況が飲み込めず、過度のストレスを感じていた。


先ほど話した母親は本物なんだろうか?
謙二のパソコンのモニターはブラウン管タイプの物に変わっていた……

携帯は…モノクロ液晶のストレートの物に変わっている。

テレビで見た巨人の監督は長島さんで、ホークスの監督は王さんだった、ON対決になるのかと盛り上がっていた。


先ほどから見かける若い女の子はビックリな位の厚底の履物を身に付けている。
コンビニで買った新聞は2000年9月18日の日付になっている。 バンクーバー冬季オリピックの記事が踊っている。


2000年9月18日

忘れることのない、菅井亜樹奈が殺害された日である。

公園のベンチに腰掛け謙二は当時の事を慎重に慎重に思い出した。

どうやって謙二と亜樹奈は会う約束をしたか。
亜樹奈と別れた場所から犯行現場までどのくらいだったか。
飲み込んだ缶コーヒーの味なんて感じないほどに。



「やっとこさ見付けたよ、まったくあんまりうろちょろするんじゃないよまったく。」


聞き慣れない女性の声が前方から響き、謙二はハッと顔を上げた。


目の前には、見たことのない、艶やかな黒髪を蓄えた、黒いフード付のコートを着た女性が立っていた。


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