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作品名:マイティーリリー 作者:zamazama

第44回   44
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 ベリンスキーは待ち続けた。
 リリーは、姿を現わさなかった。




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 B・Jは待っていた。花売り娘は、まだ姿を現わさなかった。
 もう二度とふたたび現われないのかもしれない。そんな疑念が頭をよぎる。
 それでも、B・Jは待ち続けた。
 リリー・センチメンタル=デジャ・ヴュに会える日を、ただひたすらに待ち続けた。





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 ゴードンも待っていた。
 いつまでも、待つつもりだった。




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 コロラド・スプリングス近郊のシャイアン・マウンテンの地下にある、合衆国宇宙防衛司令部所属の宇宙監視センターや、合衆国海軍宇宙監視ネットワーク、通称“フェンス”と呼ばれる宇宙監視システムが、二十四時間の警戒体制を敷き、レベル1の警報に備えて、どこからともなく出現するに違いない〈鳥〉を見張っていた。複数の地上監視用軍事衛星KH (キーホール) ・12も、五百マイルの彼方から地表を偵察していた。
 全地球表面と大気圏外の早期警戒管制システムのうち、敵性国家やならず者国家が支援するテロリスト・グループの監視、合衆国全域の防空識別圏内の防空監視など、通常の防衛カテゴリーの任務に当たる警戒システムを除いた、事実上全ての監視警報システムが、ゴードンの命令で動員されていた。五つの陸軍基地と全ての空軍基地、沿岸警備隊各基地にも、特別任務につくための動員令が発令されていた。
 世界各地のレーダーサイトが空を観察し、北米航空宇宙防衛司令部に中心を置く合衆国の全地球監視網が、見えない蜘蛛の巣のように、ただ一羽の〈鳥〉のために張りめぐらされていた。
 監視センターの地下室、通称“ボックス・ナイン”にいる蜘蛛は、ただ一羽の〈鳥〉を探し求めていた。
 ゴードンは待っていた。
 まだまだ、待たされそうだった。





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