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作品名:竜の鱗 第2章 作者:葵 輔

第10回   衝撃
ある日たまたま、友人が自転車で出勤してきたので、それを借りて昼休みにぶらぶら走り回ってみました。

少し遠くまで足を延ばしてみると、市営の体育館がありました。

めったに車でも走らないところだったので、この発見にちょっとうれしくもあり早速、見学に出かけました。

スポーツ教室の案内を見てみると、空手がありました。

夕方6時30からとあり会社が終わって、夜7時過ぎに体育館に出かけました。

許可を得て体育座りで見学です。

一通りの基本練習が終わり休憩を挟んで、師範らしき人が練習生たちに一人の黒帯を締めた大男を紹介しました。

優に180cmを超えています。

頭髪を角刈りにした30歳前半と思われるこの人は、組手競技者で国体に向けての県の強化選手と言うことでした。

「模範組手を見てもらいます」

師範がそう云い、相手に此処(ここ)の道場生らしきまだ若い少し小柄な黒帯の人を指名しました。

強化選手は道場中央でどっしりと構え、いかにも『強い』ことを感じさせるオーラを放っていました。

道場生は、すばやい動きで体格のハンデを無くす作戦でしょうか、ぴょンぴょン跳ね回り隙を伺って飛び込みました。

かなりのスピードでしたが、強化選手は苦も無く前蹴りでストンピングをし、瞬間、上段の突きから回し蹴りへと繋ぐ見事な攻撃。

道場生はその後、幾度と無く攻撃を仕掛けましたが、ついに一度も相手に触れることはありませんでした。

それどころか彼が動くたびに、彼の体のあちこちから「バシ」「バチ」と音が響きました。

強化選手の、相手の体に触れることなく、胴着だけ拳を当てる寸止めの神業です。

私が戦っても、やはり手も足も出ないだろう。

「すごい!・・・・」

思わず声を漏らしていました。

もっと驚愕したのは、模範組手の後、この強化選手が語ったことです。

彼ほどの選手でも、国体に出るとめったに勝てない。

化け物のような空手選手がうじゃうじゃいるそうです。

そして、私から見ると雲をつく大男に見えますが、190センチを超えそれこそ2メートル級の選手ばかりだと言うのです。

それでいて恐ろしく動きが早い。

私は、頭から冷や水を浴びせられたような思いで呆然としていました。

私の中で育っていた「自身の強さ」。

見事なくらい木っ端微塵に吹き飛びました。


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