「目突きと金的だけ(ダメ)って言うのでどうだ」
男は、オモチャを与えられた子供のように嬉々とした表情で怒鳴ります。
脳みそまで筋肉でできてんだろうな、ほんと困った奴だ。
私はこの場をどう切り抜けようか頭をフル回転させていました。
そうだ!!松崎町の寛山流と言ってたな。
閃きました。
あの男!。 私の勤める会社に出入りする松崎町にある納品会社の社員で、寛山流の幹部のようなことを言っていた。 小柄だが、やたらと目つきが悪く、いかにも喧嘩っ早やそうな奴だ。 現に、この男の車を漁っていた車上荒らしをとっつかまえて思いっきりボコり、口の中の歯を全部叩き折ってしまい、過剰防衛だと警察に説教されたと自慢げに話していた。
私が格闘技オタクのせいもあり割と親しく口を利いていたんです。
「松崎町と言えば、○○さんのとこの道場じゃなかったかな?」
寛山流の幹部の名前を出すと、
えっと言う顔をして、暴走族風の男は
「おまえ、○○さんを知ってるのか」
呻くように言いました。
「ああ、仕事で親しくさせてもらってるよ」
と私。
ちぇ!
大きく舌打ちすると、男はくるっと背を向け車に乗り込み、バフォと排気音を上げ、アクセルを踏み込むと走り去っていきました。
「ふぉー」
安堵の声を上げると、車に両手を後ろ手につき、頭を反らし、しばしボーとしていました。
それにしてもよくあの攻撃が防げたモンだ。
自分でもびっくりです。
訓練の賜(たまもの)なんだなー、シミジミ広田さんに感謝しました。
よし、この調子でいつか昇竜になってやる。
梶尾の野郎、来るなら来い!
竜の鱗を逆撫(さかな)ですると大けがをするぞ!!
私は、太陽に向かって両手を上げ雄叫びの声を上げました。
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