食事を終えたオレをデイヴィスは書斎へと誘った 書斎に入ってまず目に入ったものは壁一面に飾られた勲章だった そこで初めて知った デイヴィスが元軍人であることを
オレの故郷の国にも駐留していたことがあったためオレと会話ができるらしい 多くの勲章と元大統領と映る写真など デイヴィスという男に興味がわいた
オレの心を察するかのようにデイヴィスが言った
「そういうものに興味があるのか?」
オレは頷いた するとデイヴィスはこう切りだした
「トレーニングしてない時は私の手伝いをしないか?」
デイヴィスの仕事はまだ知らない
「相応の報酬は出すぞ」
とデイヴィスは付け加え仕事の話を始めた
会社は民間企業のVIPやセレブリティを対象にしたパーソナルセキュリティを行っていた 分かりやすく言えばボディガード(身辺警護)だ 他にも捜査機関や軍などの特殊部隊を訓練する施設を運営している会社を経営していた 民間人を対象とした銃器や爆発物の取り扱い指導なども行っている 民間人といってもそのほとんどは探偵や警備の仕事に従事している顧客だ デイヴィスは特殊部隊の出身だと言っていた 勲章の数から察するに相当優秀であったのだろう
オレに与えられた仕事は多忙なデイヴィスのカバン持ち兼アシスタントだ
つまらない仕事だが生活がかかっている
その日から部屋を引き払いデイヴィス邸の離れに住むようにも言われた オレがそこまでしてもらうのは悪いと遠慮するとデイヴィスはこう言った
「妻の不味い食事を私一人に食べさせるのか?」
オレは了承した 仕事も離れに住む件も
こうしてオレは今の仕事のスタートラインに立った つまらない仕事と思ったがそうではないことに気づくのに時間はかからなかった
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