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作品名:居場所ーpremium loveー 作者:yossy

第16回   決心
 その日、常務会があった。その後、みんなを誘って、自宅マンションでの飲み会となった。釧路から蟹を取り寄せた。たらば、毛がに、花咲きがに。品物は最上級だ。僕は釧路が地元なので、めちゃめちゃ大きく、とびっきり美味しい特別な蟹なのだ。皆夢中で食べた。かつらの初お披露目も兼ねていた。かつらのすごいところは、どんな相手でも応対出来て楽しくさせる。いい奥さんだねって言わせて仕舞うとこ。僕の年齢からすると付き合う人達はどうしても年齢の高い層の人達になってしまうが、かつらの事を誉める人が多い。若い事でだけじゃなく、そんなところも彼女の魅力だ。つい、調子に乗って、その日、うち中のお酒をみんなに持たせた。次の日、桂がそれだけはと大事にしていたドンペリがなくなっていた。
僕らには2つの記念日がある。一つは4月23日。桂が家に始めてきた日だ。そしてもう一つ、10月1日。同居を始めた日だ。そして、二人はもう一つの記念日に向かおうとしていた。二人の障害は次々に取り除かれて、のこりはもう、桂の父だけになっていた。
 12月になった。ある日、かつらが冗談交じりに「実家に、一緒に行く?」「行く行く!」「お父さん怖いよ!またぎ(熊射ち)だし。殺されるかも?」「殺されてもいい。行く!」それが始まりだった。その日以来、桂は無口になった。
 12月25日になった。「桂、飛行機の切符、取らなくていいの?決心がつかないんなら、一人で帰っていいんだよ。もう、25日なんだし、早くしないと、切符、取れなくなるよ。」
暫くだまってから、「ごめん。もう少し待って?」と言った。僕はそれ以上、聞くのを止めた。
 12月28日、僕の友人の歯科に治療のため行った帰り道、一念発起、桂は実家に電話した。お母さんは、子供の伴侶は子供自身の決めた人をと思っていたとのことで、賛成してくれた。只、話したのはお母さんだったので、お父さんに聞いてみるとのことだった。夜になって、桂のところにお父さんから電話が来た。31日に来てもいいこと、花巻空港に桂の兄を迎えによこすことなどを、かつらに伝えた。すんなり受け入れたかの状況に僕はなにか違和感を感じた。


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