車を駅付近の駐車場に停めタカの泊まっているホテルまで走る。 昼間の喧騒が嘘のように、寝静まった街は人の姿もなく、車さえ走っていない。
ホテルの入り口でタカに電話を掛ける。 「着いたんだけど。」
「玄関入ってすぐ右にエレベーターがあるから。六階。廊下で待ってるよ。」
自動ドアが開く。 受付にホテルの従業員がいる。 『少し気まずいな』 ユリはそう思いながらエレベーターに乗り、六階のボタンを押す。
ドキドキしてどうにかなりそう…
エレベーターのドアが開く。 「部屋は…左か。」
行こうと思いふと見ると、廊下の奥に人がいる。
『タカだ。』
気付いて振り向くタカ。 向かって歩いてくる。 部屋のドアを開け無言で部屋に入る。 タカはベッドに、ユリはソファーに座る。
沈黙が続く。
「ご飯食べた?」
ユリは、 『何を言ってるんだ私は。もう真夜中じゃない。』と思った。
タカが 「食べたよ。」と答える。
途切れる会話。
元々、無口なのだと言うタカ。 電話だとあんなにおしゃべりなのに…
時々タカの横顔を見る。 色が白く綺麗な目鼻立ち。 こんなに素敵な人だったんだ…
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