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作品名:繋がる空 作者:

第9回   ホテル

車を駅付近の駐車場に停めタカの泊まっているホテルまで走る。
昼間の喧騒が嘘のように、寝静まった街は人の姿もなく、車さえ走っていない。

ホテルの入り口でタカに電話を掛ける。
「着いたんだけど。」

「玄関入ってすぐ右にエレベーターがあるから。六階。廊下で待ってるよ。」

自動ドアが開く。
受付にホテルの従業員がいる。
『少し気まずいな』
ユリはそう思いながらエレベーターに乗り、六階のボタンを押す。

ドキドキしてどうにかなりそう…

エレベーターのドアが開く。
「部屋は…左か。」

行こうと思いふと見ると、廊下の奥に人がいる。

『タカだ。』

気付いて振り向くタカ。
向かって歩いてくる。
部屋のドアを開け無言で部屋に入る。
タカはベッドに、ユリはソファーに座る。

沈黙が続く。

「ご飯食べた?」

ユリは、
『何を言ってるんだ私は。もう真夜中じゃない。』と思った。

タカが
「食べたよ。」と答える。

途切れる会話。

元々、無口なのだと言うタカ。
電話だとあんなにおしゃべりなのに…

時々タカの横顔を見る。
色が白く綺麗な目鼻立ち。
こんなに素敵な人だったんだ…


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